正木の家7月
カテゴリ名: 正木の家
年に4回、運営推進会議で身体拘束適性化委員会を開催しています。その会議で、不適切ケアについて外部の方も交え話し合います。
不適切ケアとは、明確に身体拘束、虐待とまではいかないものの、適切であるとはいえない、いわばグレーゾーンのケアを言います。例えば、自分で食べられるのに時間がかかるから介助してしまう。まだ自分で歩ける入居者様を、危ないからと車椅子に乗せる・・などなど。思い当たる節が全くないわけでは決してありません。
こういったケアが実際に行われている、行わざるを得ない時があるというのが現状です。自分で食べられるからと、職員が手を出さずずっと見守り続けていたら…。自分で歩けるからと、入居者様の自由に歩いてもらっていたら…。何時間もずっと食事を食べ続けていることになってしまうし、何度も何度も転倒を繰り返してしまうことになってしまう。それでも不適切ケアだからやってはいけないとするのか。じゃあどこまでは良くて、どこまではダメなのか。
正木の家でも、実際ご自分で食べられる時もあるけど、箸でおかずをツンツンしているだけで、なかなか進まない時もある、そんな入居者様がいます。声を掛けても進まない、おかずをひと口サイズにして食べやすくしてみたり、器を変えてみたり、工夫に工夫を重ねてみましたが、やはり進みません。食欲がないのかと、食べられるか聞くと「食べる」と言う。でも進みません。適切なケアをするならば、本人が満足いくまで見守るのが正解なのでしょう。しかし、実際には難しいのが現状です。そこで正木の家では、食事の時間をだいたい1時間と決め、1時間以内に終わらないようなら、職員が手伝うことにしました。出来る限りご自分で食べてもらい、難しかったら手伝おう。その目安を1時間としよう!
これが不適切と言われればそれまでですが、職員さんがありとあらゆる手を考え、工夫し、出来る限りのことをやった上でのこのルールを、私は間違っているとは思いません。パッと見、不適切ケアでも、それに至るまでにどれだけ工夫をしたかが重要だと思います。入居者様の事を考えず、ただ「しょうがない」で行うケアと、入居者様のことを考え、出来る限りのことはやったけど「こうせざるを得なかった」ケアでは、全く違うことだと思います。とは言え、ないにこしたことのない不適切ケア。
「めんどくさいな~」と思っていた身体拘束適性化委員会でしたが、日々のケアを振りかえる、いい機会でもあるんですよね。
あすか