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カテゴリー別アーカイブ: 正木の家

正木の家 H25.11

カテゴリ名: 正木の家

正木の家の植え込み、金木犀。今年は咲かないのかな?と思っていました。

遠い昔、10月10日の体育の日の頃かなぁ。登下校時はこの香りで優しい気持ちになれたことを思い出します。そんなこと思いつつ、植え込みの横からS様がおられる居室を見上げました。

 

S様は9月下旬から体調を崩され居室で静養される時間が多くなりました。食事量が減り、元気がなくなってきたS様、1日500ccの点滴が日課となりました。

K先生は「病院だと1日1500ccの点滴を打つでしょうが、ご本人にとってはつらい状態をつくってしまうことになる。止めておきましょう。」

点滴を受けている間はご家族様が付き添い、手を握っていてくださいました。

時折、目を開けられますが、いつも枕元に長男様や次男様がおられ、どんなに安心された事でしょう。

すごいな・・と思ったのは、体力が落ち、起き上がることも難儀な状況でも「起きます!」とポータブルトイレに座ろうとされたことでした。ご本人にとって大変だからと「オムツをつけていいですか?」とお声かけをし、つけさせていただいたときのお顔は忘れることはできません。S様の尊厳を無視した情けない対応と反省しています。10月22日 金木犀の木に花はつきましたが香ってはきませんでした。

 

10月23日 正木の家に近づくと、あの何とも言えない優しい香りがあたりに漂っていました。嫌です! だめです! ・・・その日の12時59分、お嫁様に見守られながら息を引きとられました。

 

いつでも、誰にでも、優しい笑顔を向けてくださったS様、ありがとうございました。

これからは空から優しい笑顔で見守っていてくださいね。(赤)

正木の家 H25.10

カテゴリ名: 正木の家

10/3〜4と岩手県盛岡へ行かせていただきました。3日は東日本大震災で被災された陸前高田市と大船渡市の視察。

あの日、テレビでみた黒い波が地を這うように破壊していったのがこの土地なんだと実感。風化させてはいけないと「語り部さん」が案内してくださいました。

「避難場所となっていた市役所は津波に流され、多くの人の命を奪っていった・・」

「海岸から近い道路に面した道の駅では、一番高い所に逃げた方、3人だけが助かった・・」

「陸前高田は海岸沿いに7万本の松があり、今まで幾多の災害を防いでくれたが、今回の津波では1本の松を残しすべて流されてしまった。その松は『奇跡の1本松』として復興のシンボルになっています。」

「震災から2年半経った今、平坦だった地が5メートルかさ上げされたり、行きかうトラックを見ると復興は進んでいるようだが、私たちの心はまだガレキと一緒です。」

復興のため頑張っている建設業者が東京オリンピックへと行ってしまうのではないかとの懸念も話されていました。

4日は全国グループホーム大会。テーマは「認知症のグループホームに学ぶ人間の物語」

基調講演のあと、2名の方の事例発表がありました。1例目は戦争体験者と向き合う中で、若いスタッフは兵士となり帰宅するスタッフは出征兵士として見送られた。

2例目の発表者は親族3人の方が自死で命を閉じられた看護師さんの事例でした。ご本人にとって死との対峙は、震災により呼び戻されたようです。2例とも、「その方に向き合う」ことの大切さを伝えていました。向き合うって?

その方の人生を受け入れ、その方とつながるってことかな。その方の心に湧く世界を包み込んで、関係性を育んでいくと見えてくるのでしょうか。正木の家も開所後1年半です。入居者の皆さんと向き合いながら、泣いたり、笑ったりの生活を積み重ねていくことで、目指す「大家族の正木さんち」になれるのかな。

正木の家 H25.9月

カテゴリ名: 正木の家

うだるような暑さのため散歩外出ができませんでしたが、9月に入り朝晩の涼しさに誘われ、数日前から散歩外出を始めました。

季節の移ろいを感じながらの散歩は、リビングでは見せてくれない笑顔を再発見することができます。入居者様、スタッフともに気分転換できる貴重な時間だと思います。

 

季節の変わり目は体調を崩しやすい時期でもあります。

そんな中、K様が亡くなられました。

いつもニコニコ顔で冗談を言っては場を和ませて下さいました。お仕事をお願いすると「はいよ」っていつでも手伝って下さいましたね。

「今日はお体えらくありませんか」とお聞きすると『大丈夫。大丈夫』と言われるK様でした。

「人生いろいろ」K様の人生も山あり谷ありといろんなことを積み重ねてこられたことでしょう。

家族葬でしたので見送られる方は限られていましたが、K様の優しさがご家族皆さんに伝わっているかのような心温まるご葬儀でした。

夏祭りに来られたひ孫さん二人がおじいちゃんとのお別れに涙を流されていたのはとても印象的でした。

K様、優しい時間を一緒にすごさせていただきありがとうございます。

私達、職員に無言の教えをいただけたこと、真摯に受け止め今後に活かしていきます。

ご冥福をお祈りいたします。合掌

正木の家 H25.8月

カテゴリ名: 正木の家

もうすぐお盆です。私事ですが、昨年11月、今年7月と身近な人を見送りました。

『お盆には亡くなった人の魂が戻ってくるからご馳走を作ってもてなす。親戚が集まり故人を懐かしみ、元気で暮せることをご先祖様に感謝する日』と、子供の頃教わりました。

宗派が違うと、お盆の在り方も違います。

お寺さまは、「新盆でも特にこれといっての準備は要りません。合同法要に出席してもらえばそれでよい」とのことでした。供養は生きている者の役目だと思います。

私も自身で納得できる供養をしたいと思います。

 

夜回り先生こと水谷修氏は仏教を勉強され、8/6 の中日新聞にこんな掲載されていました。

無財の七施・・・笑顔が人の役に立つ

《七施》・和顔施 誰かと目が合ったら笑顔を返すこと

・眼施  優しい目で人と接すること

・言施  人にやさしい言葉をかけること

・身施  体を使って人のためになること

・心施  思いやりの心で接すること

・床座施 人に席を譲ること

・房舎施 人を家に泊めてあげること

七施すべてできたら高僧になれるかもしれませんね。毎日の暮らしの中で、私はいくつの施ができるかなと自身に問いかけてみました。昨日のあの時はやさしい言葉をかけたけど、優しい目をしていたかな?入居者様と目があったとき、笑顔で挨拶できていたかな?誰でもができることのようで、難しい七施です。

日々の中で一つでも多く施ができるように生き、故人への土産話を沢山持っていきたいと思います。         (赤)

正木の家:H25.7月

カテゴリ名: 正木の家

「その方を知る」

今、水井さんが実践者研修を受けています。

修了まで10日間、中5日間は施設実習で、テーマを決め取り組んでいます。

ある入居者様を対象として、『その方を知る』そして『スタッフ間で情報の共有を図る』がテーマだそうです。

本人様から伺った生活歴情報、ご家族様から得た情報をシートにまとめていました。

私はご本人からお話を聞いているからそれも知っている、その話知っている・・・と、自分は分かっていると思い込んでおりましたが、エーッそんな話聞いたことない!

そうなんだ!その出来事がこの話に繋がっているんだ!と、知らないことや勝手な思い込みがあまりにもたくさんで驚きました。

聞いても記録に残していない・・・

自分一人でわかったと思い込んでいた・・・

カンファレンスでは通り一辺の検討で本人の気持ちに沿っていない・・・等。

研修を通じて反省することが多々ありました。

チームケアの在り方、そして情報共有の大切さに改めて気づかされましたと、水井さん。

一人ひとりに向き合ったケアを行う上では「その方を知ることが大切である」ということですね。入居者様との日常生活から得た情報や発見は他のスタッフにも伝え、統一したケアを目指していきたいものです。 (赤)

正木の家:H25.6月

カテゴリ名: 正木の家

☆初ツイッター(赤澤のつぶやき)

今の私、動きが鈍くなった気がする。

頭の中ではやるべきことわかっているのに・・。

要領悪く、段取り悪い!毎日ばたばたしている気がする。

なんでかな?・・・

安定したケアができていないから?入居者の居心地、悪いんじゃないですか? どうしたらよいのでしょう・・。そう!一人ひとりにあったケアをしなければいけない。声かけでも、その方に合った声かけ、その場に即した声かけや対応が必要なんだ。

≪認知症が進んだから≫なんて考えるのではなく、今、この場の不安を解消してあげられることを考えていこう。この方はどんな気持ちでこういう言動をされるのか推し量ってみよう。その方の頭の中、心の中はわからないけれど・・、でも私達が何とかしてあげたいという気持ちは通じるのではないかしら。

 

『ここは正木?金山に帰りたいの。歩いて来たから帰る。パパ怒るよ。』

「遠いから車で行きましょうか。」と、玄関まで降りたものの動かれず。30分位同じ内容の会話が続く。

「パパが迎えに来てくれるって言っていましたよ。ここで待っていましょうか。」

『おねえちゃんがそう言うならそうするわ。』

「ありがとう。一緒にコーヒーでも飲みましょうか。」

『はい。』

涙が出そうなくらいうれしい気持ち。想いが通じたのかなぁ。

いいえ、その方が、私の事を気遣ってくださったのだと思います。ですから『ありがとうございます』なのです。

毎日、笑顔で挨拶ができ、入居者皆さんの笑顔が見られますように!!

ベランダの朝顔のように、花開くような笑顔を引き出していきましょう。

正木の家:H25.5月

カテゴリ名: 正木の家

先日、入居者A様と中村区役所へ出かけ、近くにあるその方のお住いにも立ち寄りました。以下はそのときのひとコマです。

 

(赤) :「これから一緒に出掛けましょうか?」

(A様):「えーー。どこへいくの?」

〜車中〜(名駅付近で)

(A様):「賑やかな所だね。名古屋となんもかわらんねぇ」・・・「ここが豊橋か!??」

(赤) :中村区役所つきましたよ

(A様):「うん、わかった。ここで降りるんだね。」

区役所へ書類提出後、3分ほど車椅子に乗っていただきご自宅へ向かいました。

(A様):「こんなところで離されたら迷子になってまう。たのむよ!」(豊橋に来てると思っておられる様子)

 

ご自宅へ着くと、長男様がおられ「一人で豊橋支店をやっているのか、大変だな」と労をねぎらっておられました。頼りにされていたお嫁さんが不在で早々においとましましたが、お別れ時、手を振る姿がとても自然でした。

中村区役所駐車場まで戻って乗車中、お嫁さんが走って会いに来てくださいました。

「まあ、あんたさんもこの近くにいたのかね。そうかね〜」と、いかにも他人行儀な挨拶に、お嫁さんの目には涙がにじんでいました。その光景を見て私はお嫁さんに駆け寄り「ごめんなさいね」と思わずハグしてしまいました。

「お母さん、いいところでお世話になってよかったね!」とお嫁さん。その言葉を聞いて私も涙が出てきました。

お嫁さん(ご家族)の気持ちは複雑なんですよね。面倒見たいけどできないジレンマ。私たちは家族にはなれませ

んが、安心して過ごしていただける環境が提供できているのかな・・・。

私たち職員も環境の一部です。良い環境となるべく心していきましょう。 (赤)

正木の家:H25.4月

カテゴリ名: 正木の家

「正木の家」の今年の花見はいつだった!!と言うくらいパットしない花見でした。

3月31日に予定はしましたが、あいにくの空模様でした。出かけてみたら雨に降られ雨宿りする始末。皆さんごめんなさい<m(__)m> じつは、私は雨女だったのです。

春は桜。日本人は桜が大好きですよねって、皆さんと話していると「桜は日本のこころだ」って、K様が言われました。
認知症ってなんだろう!この感性に感服し、そうですねって納得しました。

日本の四季折々の花。春はさくら・夏はひまわり・秋はきく・冬はつばき(?)でしたか。
今年のちぎり絵は四季の花を作っていこうと皆さんと決めました。
今、玄関にはさくら、チューリップ、マーガレットが咲いています。

またまた、本の話で恐縮ですが、
渡辺和子著「置かれた場所で咲きなさい」

『人はどんな場所でも幸せを見つけることができる。どんなところに置かれても、そこで環境の主人となり自分の花を咲かせよう。咲くということは、仕方がないと諦めることではありません。それは自分が笑顔で幸せに生き、周囲の人も幸せにすること・・・』

私の中での今年の想いは「笑顔」だったので、誘われるように本を手にとっていました。
入居者様の笑顔・スタッフの笑顔が相乗効果を発し、気持ち穏やかに笑顔で暮らせるといなぁ。

不機嫌は環境破壊。
顔から、口から、態度から、ダイオキシンを出して人の心をむしばむ・・・。
笑顔は立派なエコだそうです。

いつでも、誰でもができる笑顔作りというエコ活動、さあ始めてみませんか。(赤)