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カテゴリー別アーカイブ: 正木の家

正木の家 10月

カテゴリ名: 正木の家

★なんだか楽しそう

最近、 T様がお昼寝中に手を挙げ誰かとお話をしたり、
食事中に誰もいない所を見て、「 ○○さん」と呼びかけていたりします。
M様は何もないテーブル上から何かを拾い集めては口に運びを繰り返し、
「はーお腹いっぱい」と満足気に言われたりします。
幻視か?! でもなんだか楽しそう。
お2人の姿を見ているとマイナスイメージの幻視が、
なんだか楽しい事のように思えてしまうのです。
話相手がいれば寂しくないし、食べてないのにお腹いっぱいになるなら、
なんか得した気分になります。
もちろん人によって見えるものは違うし、虫や蛇が見えてしまったら楽しいなんて言ってられません。
でも幻視全てが悪い事ではないし、無理に消そうと躍起になる必要もないのではないかと思います。
見えない物が見えていようと、本人が楽しそうならそれで良し。
そのくらいに構えていた方が、きっと介護は楽しいものになるのだと思います。
症状にばかり目を向けるのではなく、入居者様本人に目を向け、
不安があれば原因を探り対処法を考える。楽しそうならそれでOKでしょう! 

(あすか)

正木の家 9月

カテゴリ名: 正木の家

★なにかできることはないの?

8月半ばあたりからW様の状態が芳しくありません。
パクパク食べていた食事がほとんど進まなくなりました。
口を開けてもらえない為、私達にはどうする事もできず、
先生に相談するも出てくる言葉は胃ろうか経管栄養。
しかしご家族は望んでいない。
こんな時、何もできない自分に無力感を感じます。
点滴も細い血管では限界がある。
飲めない、食べられない。口を開けたくても開けられないのか。
言葉をほとんど発しないW様の気持ちも知る事ができない。
私達にいったい何が出来るのか。
それとも食べてほしい・・と思うのは私のエゴなのか。
そんな無限ループに陥ってしまいました。
今でも答えはみつからず・・、
答なんてないのだと思います。
じゃあ何もしなくていいのか。そんな訳ありません。
最後まで出来る事を探すのが私達の仕事です。
気持ちは分からなくても、寄り添う事しかできなくても
「私達にしかできない何か」を探究していきたいと思います。
ちなみに、今では少し口を開けてくれるようになってきました。
W様が言っている気がします。
「しゃーないなぁ」と。

(あすか)
 

正木の家 8月

カテゴリ名: 正木の家

★私は迷惑かけてるの?

月壱屋のお客様がこんな事を言っていました。
「介護されるようになるのは嫌だな~」。
まだ元気な人はこう思います。
実際私も「自分の面倒くらい自分でみたい」と思っています。
ではなぜ嫌なのか。『介護される=人に迷惑をかける』と考える人が
多いのではないでしょうか。
入居者のH様、この所入浴拒否が強く、職員も悪戦苦闘。
入浴を断る時はきまって「私は一人だから風邪引いてまわりに迷惑をかけたくない」
と言われます。
お風呂に入るのが嫌なのではなく、迷惑をかけるのが嫌なのです。
I様の場合は必ず「迷惑かけてごめんね」と何度も言ってくれます。
迷惑をかけたくない、申し訳ない、そんな思いからでしょうか。
大手を振り、喜んで介護を受ける人はほとんどいないでしょう。
それでも入居者様は不本意かもしれませんが介護を受け入れてくれています。
更に「迷惑かけてごめんね」と、そんな優しい言葉もくれます。
「ありがとう」と感謝もしてくれます。
そんな思いにしっかりと寄り添える介護者でありたいと思います。    

(あすか)

正木の家 7月

カテゴリ名: 正木の家

★ヒトは忘れる!(正木の家)

『健康寿命の延伸10か条』という冊子に
「ヒトは忘れるようにできていて、モノは無くなる」とありました。
とは言え、忘れられずクヨクヨ引きずってしてしまう時は、やはりあります。
入居者のK様、キャリアウーマンで定年後もひとり暮らしをしておられましたが、
限界となり昨年入所されました。
入所後、住んでいた家をお姉さんが片づけると、
認知症に関する冊子や、認知症の講演会の資料、ありとあらゆることをメモした紙、
などがたくさん出てきたそうです。
忘れていく自分に気づき、私は認知症ではないかと不安になり、認知症について調べ、
話を聞き、さぞ不安な日々を送っていたと思います。
そんな日々も過ぎ、今のK様は忘れていることを忘れます。
テレビで認知症についてやっていても他人事。
他者様を見て、「 あの人、何を言っても憶えていないのよ!」と怒ったりします。
さて、それは本人にとって悪い事でしょうか。
「 私は認知症ではないか」と不安に襲われ、悩んでいた頃に比べたら
何倍も健康的な気がします。
忘れてしまえばクヨクヨもしない。
ある意味、健康寿命の延伸10か条の一つをクリアです。
                 
(あすか)

正木の家 6月

カテゴリ名: 正木の家

★まさか!?(正木の家)

W様に2週間前、歯科の先生より奥歯のインプラントが
2本グラグラだから抜いたほうがいいと提案。
その2週間後、まさに抜こうとした時、
「ない!?」 抜く筈だったインプラントが見当たりません。
抜けたモノを見た職員もおらず、
飲み込んでしまったのではないかと大騒ぎ。
今迄も抜けた歯を飲んでしまった入居者様はいたものの、
やせた小さなものばかり。今回のインプラントは2連で2センチ角程の大きさ。
これは危険!レントゲンにくっきり映っているモノを見て
「この大きさ、小腸通るかな~」とつぶやく北川先生。
クリニックでは取れないので、その足で坂文種病院へ。

モノは十二指腸の手前位にあり、今なら内視鏡で取れるとの診断。
ご家族と相談し、内視鏡でとる事になりました。
消化器内科の先生の悪戦苦闘の末、なんとか大きなモノを取ることが
できました。大きな出血もなく、念のため3日ほど入院し無事に帰宅。
飲み込んだ時や、内視鏡の時、どんなに苦しかったことか。
歯科医も「まさか飲み込めるとは」と驚いていました。

高齢者には、まさかが命取り。
気づいたら先延ばしにせず、すぐに対処しなければいけませんね。
今回の件、新たな教訓を得させてもらいました。   

(あすか)

正木の家 5月

カテゴリ名: 正木の家

★たすけて! お助けアイテム!

正木の家の人気番組、「志村けんのバカ殿様」
1986年からやっている長寿番組で、きっと皆さんもご存じのはず。
テレビでの放映は必ず録画しています。
入居者同士の言い合いが始まった時にはすかさず登場。
志村けんが画面に出てくると場の雰囲気が一変、
笑いに包まれます。
何度けんさんに助けられた事か。
分かりやすい動きの見える笑いは、認知症の人も理解しやすいようで、
いざという時のお助けアイテムです。
他にも、嚥下機能が低下してきたU様のお助けアイテムはお煎餅と氷。
これがあれば食事もお茶もごくごく飲みこめます。
K様はパズル。
アイテムが機能しない時もありますが、
パズルを出すと集中して取り組まれます。
その人その人に合ったお助けアイテムを活用しながら、
日々奮闘中の正木の家です。
                 

(あすか)

正木の家 4月

カテゴリ名: 正木の家

★出会いに感謝!(正木の家)

4月の初め、縁結び祈願を兼ねて島根へ。

足立美術館が目的でしたが島根といったら出雲大社。

しっかり縁結びのお願いもしてきました。

途中タクシーの運転手さんから、鏡の池の縁占いが人気の

八重垣神社を教えてもらいました。

鳥居をくぐるとすぐに『連理の杉松』と言われる杉の木がたっています。

その杉、途中から松の木が生えているのです。

人為的なものではなく、自然のものなのだそうです。

松を受け入れた杉の木の寛大さ、寄り添うようにそっと生えている松の木の慎ましさ。

出会うべきして出会った杉と松の木はとても神秘的なものでした。

この杉松を見て、改めて出会いの大切さに気付かされた気がします。

正木の家、入居者様、職員さんとは、やはり出会うべきして出会ったもの。

日頃感謝はしているものの、しんどい時にはそれを忘れてしまって・・。

忘れてもまた思い出せる自分でいたい。

この旅はそんな出会いへの感謝を思い出せる素敵旅でした。

(あすか)

正木の家 3月

カテゴリ名: 正木の家

★みんなの知恵で乗り切ろう!

ここ1週間程前から、 U様の食事が進まなくなりました。

口は開けるけれど、咀嚼しない。

右頬に溜めてしまい、なかなか嚥下もしない状態が続きました。

咀嚼できないのならミキサー食?

でも咀嚼ができなくなるのは避けたい。

じゃあ繊維質の葉物や肉、魚だけミキサー食にしてみては?

スルメ噛んで咀嚼の練習は?

お煎餅はしっかり噛んで食べるから、おやつはお煎餅?

エンシュア増やした方がよくない?

等々、職員からどんどんアイデアが出てきます。

みんなの工夫もあり、まだ口の中に残ってしまうものの、

徐々に食事が進むようになりました。

正木の家は職員全員のアイデアや工夫に支えられ6年間

やってきたのだなと実感。

先日たまたま読んだ漫画に、工夫は禅語からきている言葉だと知りました。

意味は一心に修行に励むこと。

一心に励むからこそアイデアや工夫が生まれるのだそうです。

皆で一心に励み、入居者様の事を考えているからこそ出てくる

アイデアや工夫の数々。

より良いケアをしていく為の必需品かな。

これからもアイデアウーマン活躍の場でありますように。

 

(あすか)

 

正木の家 2月

カテゴリ名: 正木の家

★人生いろいろ!

正木の家には働き頭のお姉さんが2人。

起床後リビングに降りると、二人で手分けしてカーテン、ブラインドを

開けてくれます。

朝食後は食器拭き。食器担当とお盆担当に分かれてテキパキ。

それが終わると洗濯。干し役とたたみ役に別れ、

せっせとこなしてくれます。

午後からも食器拭き、洗濯と仕事が続きます。

そんな2人ですが、同じことをしているのに仕事の仕方が全く違うのです。

ひとりはゆっくり時間をかけ、隅々まで丁寧に。

もうひとりはパッパと素早く、でもちょっと雑。

分からなければ「まぁこれでいいか」と。

性格出ますね。

2人の働きっぷりから、若いころはこんな生活を送ってきたのだろうなと

妄想が膨らみます。

認知症の人にとって、その人生歴を知ることはとても重要だと言われています。

家族や本人から聞いて知る人生歴も大切ですが、生活を共にするからこそ見える9人生歴も大切な気がします。

それを知る事が出来るのも、深く長く一緒に居るからこそできる

私達の特権なのだと思います。

グループホームだからこそ見えるもの、出来る事が

まだたくさんありそうです。

もっともっとみつけていきたいと思います。

 

(あすか)

正木の家 1月

カテゴリ名: 正木の家

正木の家は年末からT様が熱発され、バタバタと新年を迎えました。

インフルエンザが心配だったので29日には北川先生にお願いし検査をしてもらいました。

結果は陰性でひと安心。

97歳という年齢だけに熱発すると心配になってしまいます。

息子さんにも連絡すると、その日のうちに来て下さいました。

様子をみてちょっと安心され、

「 明日から東京に行くんだけど、ババァがどうなるか分からんから海外には行けん」と

言っておられました。

言葉は乱暴ですが、お母様に対する深い愛情がひしひし伝わってきました。

元日の朝には熱も下がり、起こしに行った私に一言、「無理しちゃいかんよ 」と。

こんな時に他人を思いやる器の広さ!

T様が息子さんやお嫁さんから愛されているのも、職員がT様を大好きなのも、

このお人柄なのだと思います。

認知症故に発する言葉が少なくなっても、その人からにじみ出る人柄は変わりません。

まだまだT様から学ばせてもらうことはたくさんありそうで、

いつまでもお元気でいてほしいものです。

(あすか)