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カテゴリー別アーカイブ: 今おもうこと

今おもうこと:H25.6月

カテゴリ名: 今おもうこと

梅雨入り宣言直後からの好天続きで、なんとなく得したような気分で過ごせましたが、やはりヘルパー泣かせの雨の季節。この先、梅雨後半に大雨続きで水害も・・なんてことにならないとよいのですが、本番はまだこれからですね。過ごしにくい日々が続いていますが、皆様お変わりありませんか?

 

先日、世界的にも著名な建築家が東日本の震災で自身の価値観を根底からくつがえされ、建築物を「作品」とか「アート」と呼ばせてきた過去を引きずる自身をリセットし、建築家の存在理由を根底から問い直した・・というテレビ番組を見ました。
その建築家が手掛けた仙台市福田町南仮設住宅にある「みんなの家」は、切妻屋根の木造平屋建て。中央に暖炉、小上がりや壁際に作り付けられた椅子には手作りのカラフルな座布団が並び、壁には子どもたちが描いた絵が飾られていました。
(先頃、建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受賞したとのこと。)
宿直中でしたがとても興味深く、ついつい最後まで見てしまいました。

 

事務所にはほとんど毎日のように、高齢者向け住宅や有料ホームの案内が届きます。過去、実際に独居生活困難となられた方を紹介したケースもありましたし、今進めているサ付き住宅「かなやまの家」の検討が始まってからは、数多くの内覧会にも参加しました。
現在、私たちが運営する施設も含め、安心とかやすらぎの文字をカタログに印字することは簡単ですが、ほんとうに必要とされる暮らしの場がそこにあるのか。内覧会の帰り道、決まってそんな疑問が胸中に膨らむのを覚えました。
報道で知る限りで恥入りますが、避難所生活においても、人間らしく生きたいと願う人々は、空き箱を食卓として笑顔で食事を楽しもうとします。あるいは仮設住宅の狭間でミニコンサートを開こうと尽力されます。極限状態でも人々は集まり、何らかのコミュニケーションを交わそうと試みる。

目頭が熱くなるようなそんな感動的な姿を幾度も見かけたはずなのに、いざ高齢者のための・・という冠が付くと、そこは提供する側の都合優先の場所になってしまっていないか・・。
最低限の安全確保とベッドしかない家に共同のリビングルームをつくる。
ここまではたいていどこでも同じです。
そこに行くと人々が自らの意志でソファやテーブルを囲み、あるいはまたお茶を飲みながらのんびりできる。目には見えませんが、そんな心の安らぎを得られる空気が流れる場所、それが私たちの目指す「かなやまの家」でなければなりません。
かなりハードルは高いですが、実現できれば入居者にとって自らが選んだと納得してもらえる「私の家」になるのでは?と再確認した6月でした。

アメニモマケズ、お元気でお過ごしください。       丸山榮出樹

今おもうこと:H25.5月

カテゴリ名: 今おもうこと

週末ごとの荒天を恨んだ4月も過ぎ、吹く風が心地よい季節になりました。

街路樹が見せるまばゆいばかりの新緑は、時に流されやすくうつろいやすい私たちの心を諭すかのように、自然の営みが普遍であることを胸の奥深いところへ静かに感じさせてくれます。
日々の営みに休みはありませんが、皆様お変わりありませんか。

 

前にもご紹介したと思いますが、菜の花では現在、昭和十年生まれの方を筆頭に7名の70代ヘルパーさんが活躍中です。しかも皆さん、ほぼ毎日という活動ぶり!

定年後における再雇用の厳しさや年金支給開始年齢の繰り上げなど、この先も年長者の方々にとって明るい話題が少ないと予想される昨今ですが、なんとも有り難く素晴らしいことだと感じます。

 

なんらかの理由で体の機能に不具合があり、自由に働けなくなった方々には申し訳ないのですが、
今後さらに進む超高齢社会を乗り越えていくには、働けるうちは働く!という方法が一番効果的ではないかと思います。もちろん前述の支援を必要とされる方々に対しても、人生経験豊富な年長者の手助けは、きっと労力以上の何かをもたらしてくれるはずでしょう。

 

先月号で少し紹介しましたサービス付高齢者向け住宅の話ですが、どうやら実現に向けて動きだすことになりました。今秋までにプラン策定、1年かけて立ち退きと現存建物の取り壊し、平成27年1月着工という計画です。詳細はまだこれからですが、おおよそ50~60戸の規模。1階にはクリニックと食堂、大浴場。2階が事務所とステーション及び託児室、3階以上は専用住居というのが現状のプランで、関係各方面にも打診しながら毎週のように打ち合わせを行っています。

 

食堂や託児室、各階の清掃や管理、もちろんヘルパー業務や夜勤・宿直も含め、ほんとうにたくさんの人に支えてもらわなければ実現し得ないことですが、言葉を選ばず敢えて文字にするなら、「高齢者の高齢者による高齢者のための住宅」というコンセプト!

 

元気で動けるうちは、たとえ短時間でも働いていただける仕組みを作り、いよいよ不自由になってしまった場合は、
そのままそこに住んでもらえるような場所にできれば・・と日々思案に暮れています。
この件につきましてはアイデアやご意見も大募集中。よろしくお願いいたします。
日中は汗ばむような季節を迎えますが、どうぞお元気でお過ごしください。

丸山榮出樹

今おもうこと:H25.4月

カテゴリ名: 今おもうこと

今年の桜、例年より早く満開になったうえに、週末ごとの荒天でめでられる機会も少なく散ってしまったような気がします。まだまだ気温の変化も激しく、衣類の選択に悩まされる日々が続いていますが、皆様お変わりありませんか。

数日前の新聞に、「ひとりで介護」6割超・・という見出しの記事が出ていました。家庭で日常的に介護する中で虐待に至った人のうち、6割の人が協力者のないままひとりで介護にあたっていたという内容でした。
京都桂川でしたか、介護のために生活が困窮し、心中を決意した母子の惨劇を記憶されている方も多いと思いますが、それ以降も毎年どこかで繰り返される悲劇は、一向に減る気配をみせません。

私たちが仕事として在宅介護や支援にあたるのは、ほとんどの場合、長くても2時間程度ですが、支える家族となると1日24時間切れ間なく、またそれが毎日続きます。その重圧たるやさぞ・・と想像に難くありません。
ただこれから迎える超高齢社会の中で、同じように家族が支えなければならないケースが減るとも思えませんし、なんか手だてはないものかと、読後ひとりで思いあぐねてしまいました。

過日、ふとしたきっかけから、この地域で暮らし続けたいという願いをかなえるような仕組みを作る計画に、一員として混ぜてもらう機会に恵まれました。
全体としては50床規模のサービス付高齢者向け住宅のイメージですが、1階には多目的ホール、デイサービス、事務所(もちろん菜の花の)、2階には食堂、働く人のための託児所、実費ショートステイなど。3階は低家賃のフロア、4階から上が1DK、2DKなどの個室という壮大なものです。
託児所や食堂では、まだ働ける地域の高齢者に経験を発揮してもらうなど、全体として元気な方々が支援を必要としている方々のお手伝いをする・・という仕組み。

もちろん事業として継続できるような費用設定や運営管理、人員配置も含め、綿密な計画と裏付けがないと実現し得ない話ですが、支援を必要としている方々に、「こんな場所があってよかったねと感じてもらえる場所に!」というコンセプトで、今後も計画実現に向かって努力するつもりです。
先のことはわかりませんが、近いうちにもう少し詳しくお話しできる機会が訪れるはず!

暖かな陽気でこれから動きやすくなる季節です。どうぞお元気でお過ごしください。

丸山榮出樹