菜の花通信

正木の家10月

オカメインコ2羽と一緒にH様が正木の家にやってきました。
黄色のリュックがチャームポイントの、とても若々しい83歳。
社交的で姉御肌な性格が幸いしたのか、すんなり正木の家に溶け込んでくれました。
更に何事も「はい、はい」と受け流せる懐の深さ。これには私も見習わなければと感心しきりです。

そんなH様。文頭にも書いたように黄色のリュックがチャームポイント。
どこに行くにも黄色のリュックは欠かせません。居室から2階に降りてくる時も、
カラオケの時も、トイレの時も。夜中のトイレ時にもリュックを背負って出てきたのには、
私もちょっとびっくりしました。

それほど大切なリュックなのに、何故かトイレには時々忘れてしまう。
そんなところがまたチャーミングなH様。とっても衣装持ちでおしゃれなお洋服がたくさん。
1日に何度も衣装チェンジが繰り返されます。居室から降りてくる度に衣装をチェンジし、
毎回ばっちり決めて降りてこられます。

さすがお洒落さん~と思いきや、用事があって居室をたずねると、
パジャマのズボンにタンクトップ姿でインコちゃんにご飯をあげてるH様。
そのギャップがたまらなく素敵です。しっかりしているようで時々可愛いらしい一面をみせてくれるH様。
これからどんなドラマが生まれるのか楽しみです。

一緒にやってきたオカメインコちゃん。名前はナナちゃんだかララちゃんだか、
ぴーちゃんだかキキちゃんだか…。ほんとのところは分かりませんが、
とにかく赤いほっぺの可愛いインコちゃん達です。

あすか

今おもうこと10月

新しい総理大臣が選出されました。
この国の行先がどう変わるのか、大勢の国民が見守っています。

私たちが携わる介護や医療など、制度によって報酬が支払われる仕事は制度ビジネス。
制度外のビジネスでは、市場調査や戦略、価格決定や与信管理など、さまざまな検討や企画立案が求められ、
その優劣が収益をも左右します。

対して私たちの仕事は、初めから価格が決まっていて、サービスにも細かな取り決めがあります。
また介護を必要とする人が増え続ける中、税や保険料など財源が今以上に増えないように制度は設計されます。
そこに今後担い手が明らかに不足する事態となることへの手当てがあるのか?

秋も本番!どうぞお元気でお過ごしください。 

丸山秀樹

正木の家9月

7月から8月にかけ、正木の家に新しい入居者様2名とオカメインコ2羽が入所されました。

7月に入所されたI様。
入所当初は笑顔もなく、毎日険しい表情で「今日はうちに帰るから」の繰り返し。
食事以外はひとり居室で過ごす日々が続いていました。当たり前です。
自分の家があるし、ひとりで暮らせると思っているのに、急に知らない所に連れてこられ、
納得できるわけがありません。「家に帰りたい」そう思うのは当然のことだと思います。

しかし実際にはご自宅はもう住める状態ではなく、ご近所とのトラブルも絶えませんでした。
周りの人は心配して入所した方がいいと言う。でも本人はちゃんと暮らしていると言う。
認知症のご家族がいる方にはあるあるですよね。

そこで、施設で働く私たちに出来ることは、まず「家に帰りたい」と言う思いを否定しない事。
家が一番なのは当たり前。でも、「家がいいけど、ここも悪くない!」と思ってもらえればそれでいい。
しょうがないか・・程度でいいと思うのです。
そのためには正木の家を、彼女にとって居心地のいい場所にする必要がありました。
日中は出来る限り好きなように過ごしてもらうようにしました。部屋に居たければそれでいいし、
レクにも参加したくなければそれでいい。でも一緒に過ごしている時はできるだけ話しかけ、
コミュニケーションをはかるように心掛けました。更にすみれ(チワワ)の存在や、
お好きだったパチンコ台を導入したこともあり、1週間を過ぎたあたりから表情が変わり始めました。
笑顔が増え、彼女の方から話しかけてくれるようになり、「帰る 」と言う言葉もあまり出なくなってきました。
少しずつ、正木の家がI様にとって悪くない場所になってきているのかな?そんな事を思っていました。

そしてひと月程たった頃、こんな嬉しい事を言ってくれました。
「ここの人はみんないい人。」「ここに居れば安心。」と。
悪くない場所でいいと思っていたのに、正木の家、なんと安心できる場所まで昇格しました!
本当に嬉しかった。思わずうれし泣きするところでした。

やれやれ、ちょっとひと安心と安堵した所に、次の入居者様が入所されました。
オカメインコを2羽連れて・・(続)。

あすか

今おもうこと9月

スキーでパラレルターンと言えば、上級者のテクニックですが、
パラレル(平行)というコトバ、この頃、ふと頭をよぎるようになりました。

米テロ後の長年に渡るアフガン戦略、東京オリンピック開催の賛否、
後手後手になるコロナ対策、世界中で起こる異常気象と甚大な被害、
その他あれもこれも。あのとき、こうしておけば良かったのに。
こちらを選択すれば結果は違ったのに。

SF映画じゃないですが、もしかしたら戦争のない世界や、
コロナと共存している世界がこの世のどこかに平行して存在しているのではないのか?
目や耳を覆いたくなるようなニュースが多すぎ、感覚がおかしくなっているのか、
あるいは衰えはじめた脳の誤作動か。

過ごしやすい季節を迎えます。
どうぞお元気でお過ごしください。

丸山秀樹

正木の家8月

先月5日、入居者M様が96歳で永眠されました。
とってもおしゃべり好きだったM様。
入所して7年間、亡くなる10日ほど前まで
毎日M様のしゃべり声が正木の家には響いていました。

機嫌が悪いとすごい勢いで怒ったり、悲しいと涙を流していたり、
嬉しいと満面の笑みで「 最高!」と叫んだり・・。
本当に感情豊かで素直な人でした。

歌も大好きで「旅の夜風」を良く唄って聞かせてくれました。
盆踊りや闇之森神社のお祭りでは、うちわを振りながらとても楽しそうに踊っていました。
食べる事が大好きで、「 ご飯ちょーだい」とよくおねだり。
美味しいと「うまいな~。一番!」と言って下さいました。
喫茶店で培われた愛嬌と美人顔を武器にみんなから愛されるそんな人でした。

M様の元気な声が聞こえなくなった今、正木の家は少し寂しくなってしまいました。
入居者様の最後の時間を一緒に過ごせるのは、とても幸せな事ではあるけれど、
旅立たれた後、いつもの場所にいないのはやっぱり寂しいものです。
きっと今頃は、大好きだったお父さんと一緒にスイカでも食べている事と思います。

ご冥福をお祈り申しあげます。
M様の元気な声と可愛らしい笑顔は、いつまでも正木の家で語り継がれていく事でしょう。

あすか