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正木の家10月

カテゴリ名: 正木の家

先月9月22日午前10時、正木の家の最年長T様が百三歳で永眠されました。

正木の家が開所した年の5月に入所され12年、数々の伝説を残していかれました。

入所当初はまあよくしゃべる。声が大きいものだから、毎日のように他者様に怒られていました。負けん気が強いものだから怒られて引き下がるわけもなく、更に大きな声で言い返す。そんな毎日でした。八十八歳まで、経理としてご主人の商売を手伝ってきたこともあり毎月25日になると、給与や支払いの心配をしておられました。

スーツの男の人が来ると税務署が来たと思い込み、すごい剣幕で怒っておられました。「里の秋」と習字で書いてもらおうと思ったら、「里の税」とご立派な字で書いておられました。肺炎で入院しても、大腿骨を折って入院しても必ず完全復活して帰ってきていました。最後の2年ほどは、食事が摂れなくなる時期もありましたが、そのたびに復活してはみんなを驚かせ、安心もさせてくれました。

最後の最後は昏睡状態に陥りながらも、T商店の締め日である25日を待って旅立っていかれました。

家族思いで家族に愛されたT様。最後まで子供の事を気にされていたのでしょう。本当にみんなに愛される人でした。身体は小さいのに声は人一倍大きくて、笑うと可愛くて、怒るとうるさくて、芯が強くて頑固で、でもやさしくて思いやりがあって、大らかで大雑把。

そんな人間味溢れる本当に本当に素敵な人でした。あのいたずらっ子のように笑う笑顔、きっとずっと忘れられないことと思います。百三年という長い人生、本当にお疲れさまでした。

どうか安らかな眠りにつかれますよう。

あすか