7月から8月にかけ、正木の家に新しい入居者様2名とオカメインコ2羽が入所されました。
7月に入所されたI様。
入所当初は笑顔もなく、毎日険しい表情で「今日はうちに帰るから」の繰り返し。
食事以外はひとり居室で過ごす日々が続いていました。当たり前です。
自分の家があるし、ひとりで暮らせると思っているのに、急に知らない所に連れてこられ、
納得できるわけがありません。「家に帰りたい」そう思うのは当然のことだと思います。
しかし実際にはご自宅はもう住める状態ではなく、ご近所とのトラブルも絶えませんでした。
周りの人は心配して入所した方がいいと言う。でも本人はちゃんと暮らしていると言う。
認知症のご家族がいる方にはあるあるですよね。
そこで、施設で働く私たちに出来ることは、まず「家に帰りたい」と言う思いを否定しない事。
家が一番なのは当たり前。でも、「家がいいけど、ここも悪くない!」と思ってもらえればそれでいい。
しょうがないか・・程度でいいと思うのです。
そのためには正木の家を、彼女にとって居心地のいい場所にする必要がありました。
日中は出来る限り好きなように過ごしてもらうようにしました。部屋に居たければそれでいいし、
レクにも参加したくなければそれでいい。でも一緒に過ごしている時はできるだけ話しかけ、
コミュニケーションをはかるように心掛けました。更にすみれ(チワワ)の存在や、
お好きだったパチンコ台を導入したこともあり、1週間を過ぎたあたりから表情が変わり始めました。
笑顔が増え、彼女の方から話しかけてくれるようになり、「帰る 」と言う言葉もあまり出なくなってきました。
少しずつ、正木の家がI様にとって悪くない場所になってきているのかな?そんな事を思っていました。
そしてひと月程たった頃、こんな嬉しい事を言ってくれました。
「ここの人はみんないい人。」「ここに居れば安心。」と。
悪くない場所でいいと思っていたのに、正木の家、なんと安心できる場所まで昇格しました!
本当に嬉しかった。思わずうれし泣きするところでした。
やれやれ、ちょっとひと安心と安堵した所に、次の入居者様が入所されました。
オカメインコを2羽連れて・・(続)。
あすか