メニュー

カテゴリー別アーカイブ: 正木の家

正木の家11月

カテゴリ名: 正木の家

今年もあと2ケ月を切りました。
毎年あっという間に1年が過ぎていき、気づけばもう11月です。

振り返れば、今年は悲しい別れが3度も訪れました。
2月に入所したばかりだったM様、9月の終わりに永眠されました。
96歳のとても可愛らしい素敵な方でした。
あっという間に正木の家の人気者になり、他の入居者様からも
「Mちゃん」と呼ばれ親しまれていました。
隣に座ると必ず手を握ってこられ、にっこり微笑む顔が本当に愛らしく、
一緒にいると癒される・・そんな人でした。

9月の初め頃からほとんど食事が摂れなくなり、
食べてくれるものと言ったらチョコレートくらい。
そんな状態で2週間以上も頑張ってくれました。
最後の2週間は、娘様が毎日のように足繫く正木の家に通われ、
親子2人の時間を過ごされました。
きっと娘様と過ごす為の2週間だったのでしょう。
本当に優しく、みんなから愛される人でした。
そしてそれと共に強く逞しい人だったように感じました。

お別れの時、「最後が正木の家でよかった」と娘様が言って下さいました。
こんな言葉をいただく事ができ、本当に有難い限りです。
悲しい別れと共に、最後を看取らせていただく事のできる有難さを感じられた年でもありました。

今年もあと少し。
今月からは、また新しい入居者様も入所されました。日々有難さを感じながら、
新しいご縁を大切に、とにかく毎日ハッピーに2021年の残された時間を過ごしたいと思います。

あすか

正木の家9月

カテゴリ名: 正木の家

7月から8月にかけ、正木の家に新しい入居者様2名とオカメインコ2羽が入所されました。

7月に入所されたI様。
入所当初は笑顔もなく、毎日険しい表情で「今日はうちに帰るから」の繰り返し。
食事以外はひとり居室で過ごす日々が続いていました。当たり前です。
自分の家があるし、ひとりで暮らせると思っているのに、急に知らない所に連れてこられ、
納得できるわけがありません。「家に帰りたい」そう思うのは当然のことだと思います。

しかし実際にはご自宅はもう住める状態ではなく、ご近所とのトラブルも絶えませんでした。
周りの人は心配して入所した方がいいと言う。でも本人はちゃんと暮らしていると言う。
認知症のご家族がいる方にはあるあるですよね。

そこで、施設で働く私たちに出来ることは、まず「家に帰りたい」と言う思いを否定しない事。
家が一番なのは当たり前。でも、「家がいいけど、ここも悪くない!」と思ってもらえればそれでいい。
しょうがないか・・程度でいいと思うのです。
そのためには正木の家を、彼女にとって居心地のいい場所にする必要がありました。
日中は出来る限り好きなように過ごしてもらうようにしました。部屋に居たければそれでいいし、
レクにも参加したくなければそれでいい。でも一緒に過ごしている時はできるだけ話しかけ、
コミュニケーションをはかるように心掛けました。更にすみれ(チワワ)の存在や、
お好きだったパチンコ台を導入したこともあり、1週間を過ぎたあたりから表情が変わり始めました。
笑顔が増え、彼女の方から話しかけてくれるようになり、「帰る 」と言う言葉もあまり出なくなってきました。
少しずつ、正木の家がI様にとって悪くない場所になってきているのかな?そんな事を思っていました。

そしてひと月程たった頃、こんな嬉しい事を言ってくれました。
「ここの人はみんないい人。」「ここに居れば安心。」と。
悪くない場所でいいと思っていたのに、正木の家、なんと安心できる場所まで昇格しました!
本当に嬉しかった。思わずうれし泣きするところでした。

やれやれ、ちょっとひと安心と安堵した所に、次の入居者様が入所されました。
オカメインコを2羽連れて・・(続)。

あすか

正木の家8月

カテゴリ名: 正木の家

先月5日、入居者M様が96歳で永眠されました。
とってもおしゃべり好きだったM様。
入所して7年間、亡くなる10日ほど前まで
毎日M様のしゃべり声が正木の家には響いていました。

機嫌が悪いとすごい勢いで怒ったり、悲しいと涙を流していたり、
嬉しいと満面の笑みで「 最高!」と叫んだり・・。
本当に感情豊かで素直な人でした。

歌も大好きで「旅の夜風」を良く唄って聞かせてくれました。
盆踊りや闇之森神社のお祭りでは、うちわを振りながらとても楽しそうに踊っていました。
食べる事が大好きで、「 ご飯ちょーだい」とよくおねだり。
美味しいと「うまいな~。一番!」と言って下さいました。
喫茶店で培われた愛嬌と美人顔を武器にみんなから愛されるそんな人でした。

M様の元気な声が聞こえなくなった今、正木の家は少し寂しくなってしまいました。
入居者様の最後の時間を一緒に過ごせるのは、とても幸せな事ではあるけれど、
旅立たれた後、いつもの場所にいないのはやっぱり寂しいものです。
きっと今頃は、大好きだったお父さんと一緒にスイカでも食べている事と思います。

ご冥福をお祈り申しあげます。
M様の元気な声と可愛らしい笑顔は、いつまでも正木の家で語り継がれていく事でしょう。

あすか

正木のいえ7月

カテゴリ名: 正木の家

6月7日、正木の家の歌姫i様が永眠されました。
歌が本当にお上手で、闇之森のカラオケ大会や、介護まつりののど自慢大会に2年連続出場。
地域でも有名な正木の家の歌姫でした。

カラオケサロンでもみんなから「iちゃん」と呼ばれ、デュエットの相手に大忙しでした。
しかし、今年に入り、そんな歌姫も声が徐々に出なくなり、話すこと唄う事も
ほとんど出来なくなっていきました。それでも本当に歌が大好きだったのでしょう。
みんなが唄っているのをニコニコしながら聞いておられました。

動物も子供も好きで、職員が連れてくる子供と楽しそうに遊んだり、アニマルセラピーでは
ポニョちゃんを上手にあやしたり、すみれもi様にはとてもなついていました。

ちょっとクールで、たまにめんどくさがり屋で、でも本当に心の優しい人でした。
イライラすることもあったでしょう。話したくても話せない、唄いたくても声がでない、
食べたくても喉を通らない。それでも怒ることなく、毎日を穏やか~に過ごしておられました。

最後は職員に見守られながら、待っているご主人のもとに旅立っていかれました。
凛とした本当にきれいなお顔でした。さすが正木の家の歌姫です。

今頃、ご主人とデュエットでもしている事でしょう。

あすか

正木の家6月

カテゴリ名: 正木の家

6月もあっという間に半分過ぎ・・というか、今年も半分が過ぎようとしています。
相も変わらず緊急事態宣言で出かける事もままならず、モヤモヤから脱出できずにいます。

もともとインドア派でおウチ大好きの私ですが、出かけられないとなるとどこかに行きたくなる。
行ける時には行こうとしないのに、いざ行けなくなると行きたくなる。
身勝手でしょうもないなと思う今日この頃であります。

そんな中、唯一の兆しとなるワクチン接種が正木の家でも始まりました。
幸いな事にかかりつけ医の先生が接種して下さることとなり、
正木の家で入居者様と職員全員が1回目の接種を終えました。

ワクチンが届いたら一番に打ちに行ってあげる・・との先生の計らいで、
思ったよりも早く接種する事ができました。
1回目という事もあるでしょうが、今のところ大きな副反応もなく、
入居者の皆様は何事もなかったように過ごしておられます。

順調にワクチン接種が進み、安心して外出ができ、
入居者様や地域の皆様と一緒に楽しいイベントが行える、
そんな以前の正木の家に戻ることを待ち望んでいます。

あすか

正木の家5月

カテゴリ名: 正木の家

今年もコロナ禍のゴールデンウィークで、どこにも出かけれられない方が多かったと思います。
子供さんのいるご家庭は特に大変だったことでしょう。
どこかに連れて行ってあげたいのに、連れて行ってあげられないもどかしさ。
そんなもどかしさを感じる今日この頃、正木の家はお散歩三昧の日々を送っております。

暑くもなく寒くもなく、今の気候は絶好のお散歩日和。
夏になると暑すぎてなかなか出掛けられないので、ここぞとばかりにお散歩に出かけています。
お散歩コースは正木の家~正木公園。木々はいつも季節を教えてくれます。

春には桜が咲き、夏には葉が青々と茂り、秋には紅葉、冬は少し寂しく散っていく。
施設の中は冷暖房を使い、暑いも寒いもなく季節を感じることがあまりありません。
昨年からは外出も減り、季節ごとのイベントも軒並み中止となって、季節を感じる機会が減ってしまいました。
楽しいイベントもなく、毎日の生活がついついマンネリ化してしまいがちです。
生活がマンネリ化すると日増しに気分が萎え、やる気がなくなってしまいます。
それを「気涸れ」と言うそうです。気が涸れて、生命力が衰えた状態のたとえとのこと。

コロナ禍でついついなりがちな気涸れ状態。
それを防ぐ為にも、少しでも季節を感じ、日々を出来るだけ丁寧に暮らすよう心掛けたいと思います。

あすか

正木の家4月

カテゴリ名: 正木の家

昨年に続き、今年もコロナ禍での春を迎えました。
緊急事態宣言は解除されたものの、まだまだ予断を許さない状況は続いています。

が、だからと言って、こんなに陽気が良くて桜も綺麗なのに花見に行かないなんてもったいない!
ってことで、皆さんと東別院までお花見に行ってきました。
もちろん感染対策をし、花を愛でながらの桜餅は我慢しましたよ。

気持ちの良い日でしたし、桜は綺麗だし、入居者様も嬉しそうだし・・。
お腹は満たされなかったけど、心は満たされた気分でした。
そんな様子をご家族にもラインすると、皆様大変喜んで下さいました。
みんなでお出かけできた事や、外の空気を吸うことができた事、桜を愛でて季節を感じられた事、
各々返信を下さいました。
そして最後には皆様必ず、ありがとうございましたと言って下さいます。
お手数をお掛けしましたとも言って下さいます。

こんなコロナ禍にみんなで外出なんて・・
と思う方もいるかもしれません。でも、ご家族からこのような言葉を頂くと、
行ってよかったんだなと安心します。

昨年からあらゆる場面で迷う事が多くなってきました。これはやっていい事なのか?
ここまでは大丈夫か?どこまでが正解なのか!リスクを考えたら何もしない、
どこにも行かないのが正解なのかもしれません。
しかし、認知症の方にとってはそれこそがリスクでしかありません。
ワクチンの接種が始まりますが、まだまだコロナウィルス感染症終息の目途は立っていません。
感染リスクを減らしながら、認知症進行のリスクも減らす。

昨年に続き、迷える日々は続きそうです。

あすか

正木の家3月

カテゴリ名: 正木の家

2月3日、S様が正木の家に入所されました。大正産まれの95歳。
目が合うと「なに~」と言いながら微笑んでくれるとても愛くるしい方です。

静岡で一人暮らしておられた後、娘様の暮らす名古屋にやってきました。
認知症の進行と共に夜間のおトイレが上手くいかなくなり、入所を考えられたそうです。
昨年7月に娘様が見学に来られましたが、その時正木の家は満床。
8月に特養に入所されたようでした。

正木の家が空いた連絡をしたところ、特養から正木の家に転所してこられました。
娘様も特養に特に不満があるわけではないので悩まれたそうです。
S様のご姉妹に相談したところ、「私ならやっぱり個室がいいかな。」
と言われ、転所を決断されたとのことでした。

転所を決められた後、ふと思い出したことがあったそうです。
S様には1歳の時に病気で亡くした息子がいて、その息子の名前が「正樹(まさき)」だったと。
娘様は産まれる前で会ったこともないけれど、ご自宅のお仏壇に「正樹」と名前があったそうです。
それを思い出し、「最後は息子のもとに帰るんだね・・」と話して下さいました。
その話を聞きながら「ご縁ですね」と娘様と2人で涙ぐんでしまいました。

S様はもう息子の事は覚えていません。
娘様も「こんなつらい事覚えていない方が本人は幸せだと思う」と言われました。
それでも縁がS様を息子のもとに連れてきてくれたように思います。
縁が運んでくれた名古屋にある息子の名前の場所で、これからのんびり楽しく
暮らしてもらえたらと思っています。

あすか

正木のいえ2月

カテゴリ名: 正木の家

1月半ば、入居者N様が脳梗塞による嚥下障害にて胃ろう造設となり
残念ながら退所となりました。食べる事が何よりも好きだったN様。
毎食のご飯を楽しみにされて、「ここのご飯は美味しいもんね」
といつも言ってくれていました。

社長が持ってくるお饅頭には「やったー」と手をあげ大喜び。
毎週日曜に来所する息子さんの差し入れも楽しみにされており、
夕食前にハンバーガーや菓子パンをペロリ。
更にそのあとすぐに夕食も完食されていました。
夏祭りでは大好きな焼きそばやタコ焼きを美味しそうに頬張り、
クリスマス会にはお寿司やケーキを前に満面の笑み・・・。

そんなN様の嚥下障害。残念でなりません。
今はリハビリ病院に転院され、頑張って訓練を受けておられるそうです。
まだ73歳という若さで、とても頑張り屋のN様。
その頑張りが報われ、大好きな焼きそばやハンバーガーを食べられる日が
来ることを願って止みません。

そして、立春の2月3日、正木の家には新しい入居者様が入所されました。
とってもお元気で茶目っ気たっぷりな95歳のS様。
会った瞬間キュンっとくる事間違いなしです。そんなS様についてはまた来月・・。

あすか

正木の家1月

カテゴリ名: 正木の家

あけましておめでとうございます。

正木の家は今年、開所10年という節目を迎えております。
この9年間で21名の入居者様と出会い、関わらせていただきました。
誰一人として忘れることのできない個性派ぞろいです。

正木の家、永遠の主S様。産まれながらのお嬢K様。
抜群のスタイルの持ち主W様。男気溢れるT様。
ダンディーK様。いつもにこにこA様。
芸者ワルツのM様。等々など…。

21名の入居者様の人生最後のステージを一緒に過ごさせていただけたことは本当に幸せな事です。
これからもたくさんの方と関わらせて頂く機会があるでしょう。
忘れる事の出来ない人たちの最後の時を、一緒に過ごせることに感謝し、
10年という節目の年を過ごしたいと思います。

こんなご時世なのでパーッとお祝いもできそうにありませんが、
コロナが落ち着いたら派手に十周年のお祝いをしたいものです。

よろしく社長!

あすか