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カテゴリー別アーカイブ: 正木の家

正木の家10月

カテゴリ名: 正木の家

★最後のことばは?

現在、名古屋と豊田で開催されている愛知トリエンナーレに「10分遺言」
という作品が展示されています。

人生の最後に、誰かに言葉を残すとしたら何を書くかをインターネットで募集し、
24枚のモニターに次々と映し出されていく作品です。

何枚も何枚も映し出されていく遺言を読んでいて感じたことは、怒りや恐怖、後悔の言葉は
ひとつも書かれていないこと。
むしろどの遺言にも感謝の思いと残された人を励まし応援する言葉で溢れていました。

死を受け入れるとはこういうことか。自分よりも他者。究極の思いやりだな。
大量の遺言を読みながらそんなことを考えていました。

正木の家も開所してから10人の方の最後を見送ってきました。
最後のお顔は皆さま本当に穏やかでした。
皆様の心の中の遺言も、きっと感謝と励ましの言葉で溢れていたことでしょう。

あすか

正木の家9月

カテゴリ名: 正木の家

★今年もやったぜ!

先月、正木の家の夏祭りを開催しました。
今年はおなじみのメニューに加え、たこ焼きと月壱屋アニキの特製海苔巻きも。
ご家族、地域の方にも大変喜んで頂けました。

さて、正木の家の入居者様はというと…
前日からお祭りが楽しみすぎて眠れなかったり、浴衣を着てもらおうとすると、
「私のじゃありません!!」と怒り出し、でも着たら着たでご機嫌だったり。

人の多さに混乱し、ソワソワ落ち着かずハッピと豆絞り姿で散歩に出かけたり、
たこ焼きやら焼きそばやらフランクやら、無心で食べ続けお腹をこわしてしまったり。
色々ありましたが、皆様ご家族と一緒の時間を楽しんでおられました。

正木の家の夏祭りも今年で8回目。
毎年ご家族や地域の方々からとても有難いお言葉を頂きます。
入居者様の笑顔、ご家族からのお言葉、地域の方々とのつながり、これらが私たちの原動力です。

それを実感できる夏祭りでした。この原動力を糧に正木の家はこれからも動き続けます。

あすか

正木の家8月

カテゴリ名: 正木の家

★ちゃんとみていますか?

正木小学校の盆踊りの日、入居者N様が発作で救急搬送されました。
日中はいつもとお変わりなく、夕食もしっかり完食されていたのですが、
夕食後の口腔ケア時に左半身の痙攣が始まり、時間を追うごとに痙攣はひどくなり、
発汗、発熱もあった為、救急搬送となりました。

病院で点滴、CT検査で脳に異常はなく、痙攣も収まった為、その日に帰所となりました。
もともとてんかん発作を持っておられ、何度か救急搬送や入院をしておられました。

特に夏に発作が起こることが多く、脱水にならないよう水分摂取には気を付けていたつもりでした。
毎食のお茶は必ず飲んでもらうようにしており、それに加え10時、15時、入浴後の水分補給も行っています。

しかしこの日は、状態からみても、脱水状態だったのだと思います。
これだけ飲んでいるから大丈夫だろう、この決めつけが間違っていたのだと思います。
その日によって気温も違う、入居者様の状態も違う、決まった事さえやっていれば大丈夫
なんてことはないのです。

その日の入居者様、その時のご様子をしっかり観察するべきでした。
その日のN様をしっかり見ていれば防げた発作かもしれません。

観察、観察。もっと観察力を養おうと思いました。
盆踊り楽しみにしていたのに。行かせてあげたかったなー。

あすか

正木の家7月

カテゴリ名: 正木の家

★まだまだしゃべる! たべる!(正木の家)

正木の家では毎日、入居者様の大きな声がひびきわたっています。
正木の家らしいというか、菜の花らしいというか・・。

悪く言えば騒がしい、よく言えば明るい、そんな雰囲気でしょうか。
なかでも90代のお二人は、誰にもおとらず大声で、さらによくしゃべる。

高齢になるにつれ、声帯はやせて支える筋力もおちてくるそうですが、
そんなことはまったく感じられません。
そしてそんなお二人は嚥下の力も高いのです。ミキサー食やきざみ食ですが、
飲み込みはばっちり。声を出す嚥下訓練があるように、食べるちから、飲み込むちからは、
声を出すことで維持されているのでしょう。

なによりちゃんと食べていることが一番大切なのかもしれません。
94歳と99歳のお二人、大きな声が出ているうちはまだまだお元気。
大いにしゃべり、大いに笑い、大いに食べて百歳突破を目指してほしいです。     

あすか

正木の家6月

カテゴリ名: 正木の家

★変わらないことを大切に

先月、新しい入居者K様が入所されました。
29年の12月から入所を希望されていて、ようやく正木の家に入所となりました。

利用申し込みに来られた時のK様はまだ要介護2。
ご自分で歩いておられ、耳は遠いもののしっかり受け答えもできていました。

施設内のご案内をしている時、隣にいた私の手をそっと握り、にっこり微笑んでくれたのをよく覚えています。
1年半ぶりに会ったK様はどこか遠い目をして車椅子に座っておられ、表情も乏しく、
受け答えもほぼ出来ない状態でした。

1年半でこんなに変わってしまうものかと、認知症の怖さを改めて実感しました。

しかし変わっていないところもありました。
時折見せてくれる笑顔の可愛らしさは1年半前、初めてお会いした時と変わっていません。
職員の顔をしっかり見て、こちらが向ける笑顔に笑顔で返してくれます。
介助をすると必ずと言っていい程「ありがとう」と、言葉をかけてくれます。

そんなK様に職員の方が癒され、元気をもらっています。

認知症の進行とともに変わってしまったところもたくさんあるでしょう。
しかし、 K様の根源的な部分は変わっていないのだろうと感じます。
入居者様のご家族やお友達から「認知症になって変わってしまった」と言われる事があります。
ついつい変わってしまった事にばかり目がいってしまうのでしょう。
しかし変わらない部分は必ずあります。変わらない部分こそ、大切にしていくべきところなのだと、私は思います。
K様の変わらない笑顔、正木の家でも大切にしていきたいと思います。      

あすか

正木の家 5月

カテゴリ名: 正木の家

★ゆっくりおやすみください
平成24年に入所された入居者のW様が、先月永眠されました。
私のW様に対するイメージは「生命力にあふれた人」。
入所した頃はとてもパワフルで、エネルギッシュで活力みなぎる人でした。
しかし認知症の進行と共ににADLも低下。
この数年は1日リクライニング車椅子で過ごす状態でした。
更に嚥下機能も低下し、ミキサー食へと変わっていきました。
それでもW様からあきらめのような気配は全く感じられず、
むしろ生きる活力が増したように感じていました。
負けず嫌いのW様、病気に負けまいと戦っていたのでしょう。
昨年の8月からは更に食べる事が困難になり、みるみるうちに痩せてしまわれましたが、
それでもW様からは強い何かを感じました。

私達職員もその力に後押しされ、日々のケアに励んでいたように感じます。
最後は「明後日、息子さんとお孫さんが来るからそれまで頑張ろう!」
と言う言葉をかけ、本当にその日まで頑張ってくれました。

ご冥福をお祈り申し上げます。       
(あすか)

正木の家 2月

カテゴリ名: 正木の家

★おめでとうをいつまでも・・

入居者T様の白寿の会。
息子さんご夫婦、お孫さん、入居者様、職員とみんなでお祝をしました。
更に町内女性会の方々も舞踊を披露して下さり、
お祝いに花を添えて下さいました。
とても温かくT様の人柄溢れる会となりました。
何年か前、T様がこんな事を話してくれたことがありました。
「結婚する予定だった人が戦争に行ってしまってね。
僕の事は待たなくていいからと言われたけど、私はずっと待ってたよ。
無事に帰ってきてくれ結婚できたんだ。」 と。
戦争に婚約者をとられ、それでも待ち続けて結婚でき、
3人の息子を育てながらご主人の会社の経理をし、68歳でご主人を亡くし、
その後も息子さんが継いだ会社を 歳まで手伝い、
きっと大変な苦労だった事と思います。
しかしそんな苦労の中でも家族への愛情は忘れなかったの
でしょう。ご家族のT様に対する愛情がひしひしと伝わってくる白寿の会でした。
このような素敵な会を正木の家で開くことがで
き、本当に嬉しい限りです。
本当に本当にいつまでもお元気でいてほしい。
そう願ってやみません    

(あすか)

正木の家 1月

カテゴリ名: 正木の家

★たべる食べる

明けましておめでとうございます。
正木の家はどなたも体調を崩すことなく、
平穏無事に新年を迎える事ができました。
お正月はおせちとお雑煮をたくさん食べ、闇之森八幡社に初詣に出掛けました。
昨年暮れからお餅、お寿司、お寿司お餅、おせちと皆様食欲全開です。

人は口から老いるとも言いますが、入居者様の食欲は全く老いを感じさせません。
99歳、ミキサー食ながらも毎食完食のT様。
総入れ歯ながら、好きな物なら固くても意地で食べるM様。
自分の食事が終わると、職員が食べている所に「俺のないか」と聞きに来るK様。
いつも「今日のご飯何?」 「お腹空いた」と言っているN様。
老いを知らない皆様の食欲は、昨年に引き続き今年も健在。
やっぱり食べる事は生きる事なんだなと実感させられます。
そしてなにより楽しく食べる。これ大事です。

次は決算餅つき大会で楽しく食べましょう。
たらふくお餅を食べた後にぺろりとお昼を完食する姿が目に浮かびます( 笑)。  

(あすか)

正木の家 12月

カテゴリ名: 正木の家

★うたは世につれ・・

11月11日中区役所で行われた「介護まつり」ののど自慢大会に、
正木の家の歌姫S様が出場しました。
曲は十八番の「東京のバスガール」。
横断幕や応援うちわを持って入居者様、職員総出で応援に行きました。
唄ごえ十八番のお客様も花束を持って応援に駆け付けて下さり、
皆様のS様愛を感じました。

そんなS様は緊張した様子もほとんどみせず、
「○○ちゃーん」の声援に笑顔で手を振り、「発車~往来~♪」のところでは、
打ち合わせもしていないのに振りをつけての余裕っぷり。
唄った後、庄野アナウンサーとOSUとのトークにも沢尻エリカなみの「別に」。
大御所歌手のような貫禄に感心させられました。

入所当初から続くS様の活躍ぶり。正木の家が地域の方々に受け入れられてきた事も、
S様の活躍なくしては語れません。
これからも正木の家の歌姫の活躍を期待したいと思います。

来年8年目を迎える正木の家。
皆様と一緒に楽しみ、笑顔で暮らせるホームを
目指して精進していきたいと思っています。
良いお年をお迎えください。    

(あすか)
 

正木の家 11月

カテゴリ名: 正木の家

★わたしのジョウシキ?
昼食のカレーを、入居者様と一緒に食べていたある日のこと。
テーブルの向かい側でK様がカレーをお箸で食べようとしていました。
そのK様を見て、ついつい出てしまった一言。
「Kさん、スプーン使ったら?」
言った瞬間に「あっしまった!」と思いました。
案の定、「 これでいいんだわ」と箸で食べ続けられました。
余計なひと言だったのです。
カレーはスプーンで食べるものというのは、私の勝手な常識です。
何で食べたっていいのです。
美味しく食べられたらそれでいいのです。
私達が生活する為には、一般的に言う「常識」は欠かせないものです。
しかし、認知症の人と接する時、これが時々邪魔をします。
その人(認知症の人)独自の感覚や価値観に、
自分の常識を押しつけてしまう。そして、つい
つい余計なひと言。
介護の現場で働いている人なら、少なからず思い当たる節があるのではないでしょうか。
見守り、その人のその時の常識を理解し受け入れる。
分かっちゃいるけど難しい…。(あすか)