今、おもうこと 5月
カテゴリ名: 今おもうこと
前月号に続き、古い手帳をめくりながら、 15年を振り返ってみました。
その時のご縁やお力添えでうまく運んだこと、残念ながらそうでなかった
ことなど、その時の緊張感や空気の感じを伴って思いだしたりしました。
予期せぬことが起こるのが当たり前だと、耳の奥で聞こえるような気もし
ますが、まずは今日という日。これからもひるまずたゆまず毎日を紡いで
いこうと思っています。
本当にいつもありがとうございます。
前月号に続き、古い手帳をめくりながら、 15年を振り返ってみました。
その時のご縁やお力添えでうまく運んだこと、残念ながらそうでなかった
ことなど、その時の緊張感や空気の感じを伴って思いだしたりしました。
予期せぬことが起こるのが当たり前だと、耳の奥で聞こえるような気もし
ますが、まずは今日という日。これからもひるまずたゆまず毎日を紡いで
いこうと思っています。
本当にいつもありがとうございます。
今はもうなくなってしまいましたが、金山センタービルの怪しげな部屋から始まった介護サービス事業所「菜の花」。
当初はこんなところに会社があるの?って感じで訪ねてこられる方もビックリされるような始末。
振り返ってみれば、本当にたくさんの方々に支えていただきながら今日に至っています。
現在在籍している方は全部で75名。過去の台帳をめくってみれば、二百名近い方々のお世話になったことがわかります。
独立された方、他の事業所に移られた方、結婚や出産で退職された方・・などなど。
漢字の示すとおり、人は人に支えてもらって成り立っているんだと実感し
ます。
介護事業は制度に大きく影響されるため決して平坦な道ばかりではありませんでしたが、
それを乗り越えてこられたのもまた支えてくださる皆様あればこそ。
そこで今月と来月、2回に渡り、15年の歩みをご紹介します。
懐かしい話や、エッ!そうだったの?という話など・・。
お楽しみいただければ幸いです。
本当にいつもありがとうございます。
丸山秀樹
★春が来た〜 (松原のいえ)
3月のある日、泊まり明けの朝早くホー・ホケキョときれいな鳴き声が聞こえました。
「 春なんだなぁ」としばらく聞いていると、鳴き声はどんどんエスカレート。静かな朝の街にひびきわたっていました。
朝ごはんの時、皆さんに今朝のことを話すと、
まだ鳴き声は聞いてないな〜とY様。
うぐいす???な反応のG様
そして「私も聞いたよ」と、おかあちゃんこと101歳のN様。
ほとんど室内で過ごしているので、
ウグイスの鳴き声は聞いてないはず・・・
「 おかあちゃんも聞いたの?」再度聞いてみると
「何度も聞いたよ!」と。
おかあちゃん、春を感じてウグイスの鳴き声を想像したのかな。
なんだか温かい気持ちになった朝でした。
(あや)
★早く戻ってこられますように(正木の家)
先月、A様が心不全で入院。当初は点滴や酸素の管がつながれ、声をかけても弱々しい笑顔で、正木の家に戻れるのかとても心配していました。
ところが生命力の強いA様。しばらくすると酸素もとれ、食事も開始するとの事で「帰れる」と職員一同ホッと胸をなでおろしました。
しかし、ホッとしたのも束の間・・。
食事がなかなか食べられず、胃ろうでも受け入れは可能かと、ワーカーさんから確認の連絡。
胃ろうでは正木の家での受け入れは難しい…。モヤモヤしながら病院へ行ってみると、「 今日のお昼は全部食べられたそうです」と、ワーカーさん。本人もずいぶん元気で「Aさん」と声を掛けると「あら~」と笑顔。
ニコニコしながら「ぜんざいをあげたのよ~」とちらっと隣を見て「やっぱりこういう事はやらなきゃだめでしょ~」と。(笑)
??でしたが、沢山お話しをして下さいました。
まだまだ油断はできませんが、ひと安心です。
いつもニコニコ顔のA様。その笑顔に職員みんなが癒されていました。そんな愛されキャラA様の帰りをみんな待ち望んでいます。1日も早く戻れる事を願うばかりです。
(あすか)
当直スタッフはのいえでお風呂に入ります。
洗面所の棚にずらりと並んだカゴには、スタッフのお風呂グッズが入っていて、
まるで合宿所のようです。
先日の社長当直時、みんなが休まれたのを確認してお風呂へ。
ゆっくり湯船に浸かっていると、「ガラッ」と洗面所の戸が開き、G様が洗面
所でなにやら始めた様子。
10〜15分かけてとても念入りに歯磨きをされるG様。
出るに出られずの社長。
G様が歯磨きを終えて洗面所を出るまでに、すっかりタコ社長・・ならぬ茹でダコ状態になってしまったそうです(笑)。
(あや)
★今日も明日もありがとう!
正木の家の入居者様は信仰心が厚い方ばかりです。毎月1回の法話では仏教讃歌を唄いますが、皆様覚えていらっしゃるようで、しっかり唄っておられます。
笑顔が癒しのK様は毎朝起きてこられると、水屋の上に貼ってある御札にしっかり手を合わせられます。昼夜問わず、思いつくと手を合わせて回られます。時にはエレベータに、時には洗面所に、そして先日はトイレに入り、オシッコかな?と思うと、便器に向かって手を合わせておられました。(笑)
ある日はご飯の前にお膳に向って手を合わせてお経読み。以前は般若心経の写経もしておられました。信仰心と言うわけではないかもしれませんが、 K様は人にやさしい心を持った方です。何かを手伝うと、「悪かったな〜ありがとうな。」とお礼を言って下さり、職員が忙しそうにしていると「何か手伝う事あるか?」と声をかけて下さいます。そして何よりもあの笑顔。まさ『仏』!?
私、信仰心は厚くありませんが、正木の家の『仏の笑顔』を見習い、感謝の気持ちを忘れず、思いやりの心を大切にしていきたいと思っています。
(あすか)
ずいぶん古い映画になりますが、トムハンクス主演の「フォレスト・ガンプ」。大好きな映画で年に1度や2度は観ます。「 人生はチョコレートの箱、開けてみるまでわからない・・ 」というセリフから始まる物語は、反戦運動など当時のアメリカで放映された映像も混じり、同じ時代を生きてきた感覚がよみがえります。予期せぬ出来事の連続だった主人公の人生ですが、振り返ってみればすべてよい方向へ作用したようで、ドラマですが観たあといつもなにか暖かいもので満たされた気分になります。
ママが言ってた・・のセリフも随所に登場しますが、ラストシーンで、「 人には皆さだめがあり、それにしたがって生きているのか、ただ風に乗ってさまよっているだけなのか・・。たぶんその両方が同時に起こっている」とつぶやく場面があり、まさにその通りだなと感じさせられます。
少しシンドイことが起こると、まるで自分ひとりが世界中の不幸を背負ってるような気分で落ち込む。弱い人間だからこそかもしれませんが、それもこれもみな定めや巡り合わせと考えれば、荷物も少し軽くなりませんか。
たった一度きりの与えられた人生ですが、不思議なことに必要なものは全て、あらかじめ周りに用意されているのかもしれません。
自分のチカラと過信したり、棚ボタを期待して努力を怠ったり、陥りがちな遠回りに気をつけたいと思います。
どうぞお元気でお過ごしください。
丸山秀樹
★お誕生日万歳
1月にGさんとNさんのお誕生日会を開催。以前はみんなで回転寿司に行っていましたが、外出がしんどくなってきたのもあり、最近は出前寿司をとってのお誕生日会。
Gさん、いつもは食べ過ぎストップが入りますが、この日ばかりはノンストップで!お口が休む暇がないほどパクパク召し上がられました。そして、 101歳になられたNさん。
並んだお寿司をじーっと眺め、スタートと共にモリモリ!
大好きなマグロのお寿司を満喫されていました。何歳になっても誕生日は嬉しいものですね。
(あや)
★青年よ大志を抱け(正木の家)
2月、正木の家にはあいち医療福祉専門学校から実習生が2名来ています。とっても元気で明るい男の子達で、正木の家の雰囲気も華やいでいます。
認知症の方とのコミュニケーションが主な課題で、彼らは笑顔、目線、非言語コミュニケーションの利用、話題集め等、自分達で考え、積極的に取り組んでくれています。
そんな彼らの笑顔や行動をみていると、私自身初心に帰る気持ちです。忙しさを理由に、基本的な事がおざなりになっている自分がいた事に改めて気づかされました。
初心に帰る機会を与えてくれるこの実習は、私達職員に対する実習でもあるように思います。
あいち医療福祉専門学校の介護福祉学科の昨年4月の入学者数は定員80名に対し、43名だと聞きました。
介護職員不足が問題になっている今、毎日「楽しいです!」と言ってくれる彼らはとても貴重な存在です。
介護はきつい仕事というイメージが定着していますが、大変だけどこんなにやりがいがあるんだよ!と伝える存在になってくれる事を願って
います。そして、そう伝えられる正木の家を目指していきたいと思います。
今後の彼らに乞うご期待です!
(あすか)
在宅医療や在宅介護という言葉、最近の新聞やテレビには、日常会話のように登場します。私たちは介護職なので直接医療にたずさわることはありませんが、食事がちゃんと摂れているか、薬が服用できているかなど、命をつなぐお手伝いをしていることはまぎれもない事実です。ともすれば自分の体調がすぐれないときでさえ、利用者の体調を気遣って仕事に出たり、関係機関に連絡をとったりします。
なんとも尊い仕事だなと感じますが、反面そんな自分たちもひとりの弱い人間です。
国は「介護離職ゼロを目指す」と大きな公約を掲げています。介護するために仕事を辞める人をなくすという意味のようですが、そのための受け皿である介護サービス全般において、毎年辞めていかれる職員さんの数がいったいどのくらいあるのか。
施設サービスでは特に顕著ですが、低賃金で重労働という現実もあり、施設をつくっても働き手が集まらないという現象が恒常化しています。在宅サービスにおいては1対1での仕事という緊張感からか、新卒や若いスタッフの就労は皆無といってよい状況です。
勉強して資格を取り、誰かの支えになろうと決意したり頑張っている人が、本当は支えを必要としているのではないのか。人が人にするサービス故の難しさと、その打開策を日々見つめたいと思います。
どうぞお元気でお過ごしください。
丸山秀樹