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カテゴリー別アーカイブ: 正木の家

正木の家 2月

カテゴリ名: 正木の家

昨年、年が暮れるのと同時に入居者K様90年の生涯も暮れようとしていました。

30日から食事が食べられなくなり、少しの水分と点滴のみ。

起き上がることもできず、ベッドで一日を過ごしておられました。

年が明けると少し元気を取り戻し、アイスクリームやプリンを数口召し上がられるようになりましたが、
90年頑張ってきた身体はもう限界だったのでしょう、1月11日の11時50分に永眠されました。

 

ご家族は近くに住んでおられた事もあり、調子を崩されて以降ほぼ毎日のように面会に来て下さいました。

最後も大好きな息子様に看取られ90年の人生を閉じられました。

息子様の通夜でのご挨拶に、こんな言葉がありました。

「母は昔から心配性で、いつも何かを心配し、

心配事がなくなると、心配事がない事を心配しているような人でした。

しかし、80歳過ぎあたりから、母は忘れる事を覚えました。」・・・と。

 

忘れる事は悪い事ばかりではありません。

自分を守る、回りを安心させることができるひとつの手段なのかもしれません。
認知症は困った病気ではなく、前向きに向き合えば悪い事ばかりではないのかな。

 

 

(あすか)

正木のいえ1月

カテゴリ名: 正木の家

★袖すりあうも(正木の家)

明けましておめでとうございます。

年があけ、正木の家は丸5年過ぎ、6年目を迎えています。

本当に怒涛のように過ぎていった5年間でした。

しかし、そんな怒涛のような5年の間にも 名の入居者様との出会いがありました。

そして、6名の入居者様との別れがありました。

先日、ある人から『袖すりあうも他生の縁』と言うことわざについて教えてもらいました。

偶然でほんのささやかな出会いであっても、それは前世からの深い縁でおこるものなのだと。

この5年間に出会った 名の入居者様との出会にもきっと深い縁があったのです。

そんな出会いや、入居者様の最後の何年間かを一緒に過ごさせてもらう事に感謝をしな

がら、これからも明るく元気な「正木さんち」でいたいと思います。

 

(あすか)

正木の家 12月

カテゴリ名: 正木の家

★わたし、ひとりぼっち?

先日届いた業者さんの広報誌に『ひとりぼっちの孤独よりも大勢の中の孤独の方が悲しい』
という言葉がありました。
この言葉を見て、ハッとさせられました。
正木の家に居ればひとりではない。
ひとりではないという事=孤独ではない、とどこかで思い込んでいたように思います。
入居者のM様は「寂しいの」と時々口にされます。
「寂しくないよ」とぎゅっと抱きしめると、とても嬉しそうなお顔をして下さいます。
T様は職員の顔をみつけては「ちょっとー」と呼び続け、
K様も職員をみつけては「すいませ~ん。助けて下さい」と呼びかけます。
そして隣に座り、手を握ると落ち着かれるのです。
皆でいるから寂しくないと思っていたのは、私達だけだったのかもしれません。

皆様、沢山の不安を抱えて生きていることと思います。
正木の家に入居する事で、「孤独」という不安材料はなくならないといけないはずなのに、
余計に「孤独」を感じさせていたのでは?と気付かされました。
「寂しさ」「悲しさ」すべてを取り除くことはできませんが、
せめて「ひとりではないな」と感じてもらえる、そんな場所にしなければいけませんね。

(あすか)

正木の家 10月

カテゴリ名: 正木の家

正木の家に小さな職員さんがやってきました。

今までも何度か来てくれているK君です。保育園がお休みの為、お母さんと一緒に出勤です。

10時~16時までと、途中お昼寝を挟みながら、とてもいい仕事をしてくれました。

お母さんに似て肝が座っているのか、全く人見知りすることなく、入居者様のもとへトコトコ。

ちょっとご機嫌ななめの入居者様のもとへも、全く臆することなくトコトコ。

寄ってきてくれた入居者様、コロッとお顔の表情が変わりニッコニコです。

「ボク、か~わい~わね~。」と猫なで声。

「これは完敗だ 」と改めて子どもの存在パワーのすごさに感嘆しました。

それにしてもK君。1歳にしてまわりの空気が読めるのか??というくらいのいいタイミングで、入居者様を渡り歩いてくれました。そして皆様がお昼ごはんの時はお昼寝。本当にできた子で、更に感嘆です。

困ったときの救世主K君。今後の活躍を期待しています。

 

(あすか)

正木の家 9月

カテゴリ名: 正木の家

★祭りのあとの寂しさは?

先日、5回目となった正木の家夏祭りを開催しました。

年に1回、地域の方をご招待してのお祭り、年々参加して下さる方が増え、今年は入りきらない程の大盛況でした。

「楽しかったよ~ 」とのお声も頂き、お世話になっている地域の方々への恩返しが少しはできたのかなっと思います。

入居者様はというと、男性陣は美味しそうにビールで乾杯。 S様は浴衣を着てご近所の方とお話をしたり、花火をしたりと楽しそう。

ADL低下で、車イス移動の入居者様も多く、混み合った1階に車イスで降りる事ができませんでした。お祭りムード満載の中、いつもと変わらずリビングでご飯を食べてもらっている。少し空いてきてからようやく1階に降り、水風船や綿あめを楽しんでは頂けたものの、なんだかもどかしい気持ちでした。

祭り囃子が流れ、子供の頃を思い出せるような、そんな雰囲気をもう少し味わって頂きたかったなぁと反省しました。とはいえ、とっても大盛況だった夏祭り。

ご協力頂いた職員さん、ボランティアの方々に感謝です。

お疲れ様でした。

有難うございます。

そして来年も宜しくお願いします!

 

(あすか)

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正木の家 8月

カテゴリ名: 正木の家

★いまもむかしも(正木の家)

いつもは職員のMパパがひとりで行ってくれる朝ご飯の買い物に、新入居者S様が同行することになりました。初日は私も一緒にお付き合い。

大須のサノヤへ出かけると、大須商店街が懐かしいようで、歩いていると「平和堂薬局に薬買いに来たことあるわ!」。やきとり角屋をみつけると、「あそこ前に先輩に連れて来てもらったぁ〜」などと懐かしそうに話して下さいました。

買い物はS様にカートを押してもらい、パパが前からカートを引く感じです。階段ではMパパが心配して手を繋いでくれていました。歳が近いだけに夫婦のよう。S様もMパパの事を「お父さん」と呼んでいました。昔はご主人と大須を一緒に歩いていたのかもしれません。会社の先輩達と飲み歩いていたのかもしれません。S様の昔の姿が垣間見えた気がしました。

短期記憶が苦手な認知症の人にとって、昔を思い出す事はとても大切です。私もですが、普段は思い出せなくても何かきっかけがあれば思い出す。認知症の人だってそうですよね。

大須へのお買い物はS様にとっていいきっかけになったのかもしれません。新しいお店が増え、変わりつつある大須商店街ですが、やっぱり昔ながらのお店にはまだまだ頑張ってもらいたいものです。

 

 

(あすか)

正木の家 7月

カテゴリ名: 正木の家

★ここならまぁいっか

7月1日から新しい入居者様が入られました。
独り暮らしで半年位前から認知症が進み、火の扱いが危険・・・出かけて家に帰れなくなる・・などでケアマネさんも施設入所を決断。
ご本人はまだ一人で暮らしていけると思っており、「 引っ越しはいやよ。引っ越すなら九州に帰る 」と言っておられたのですが、
昼間お試し+1回のお泊りを経て、なんとか入所となりました。
今ではすっかり正木の家になじんで、バリバリお仕事を手伝って下さっています。

施設入所を決断するタイミングは難しいものです。近くに身内がなく、一人で住んでいたA様。
初めて見学に来た時はケアマネさんも後見人の方も迷っておられました。
「 ここは素敵だけど、引っ越すなら九州に帰る 」というA様の言葉。
本人の意思を尊重する事が一番ではあるけれど、一人暮らしも限界だし、実際九州に帰れる家はありません。
では私達に出来ることは?

「ここならまぁいっか。」、「本当は九州がいいけどまぁいっか。」と思って頂けたらいいのかな。
満足度百%ではないけれど、60〜70位で正木の家で暮らしてもらえたらいいのではないかと思いました。
「まぁいっか戦法」今のところ成功です。
これからも「正木の家でまぁいっか」と思いながら暮らしてもらえたらなっと思います。

(あすか)

正木の家 6月

カテゴリ名: 正木の家

★ここに居てくださいね〜★

4月よりアニマルセラピーがスタートしました。

とってもかわいいワンちゃんが4匹、正木の家に遊びに来てくれています。

入居者様もまるで子供をあやすかのように、素敵な笑顔で接しておられます。癒し以上に「この子を守ってあげたい」という使命感が生まれ、感情を豊かにする効果があるとか。

「生きている意味」、 「ここにいるという存在意義」が入居者様に必要なのだと感じました。

子供も自立し、当たり前にしてきた生活ができなくなり、長年暮らした家を離れ、正木の家で暮らしている入居者様にとって、私がここにいる意味を感じてもらうにはどうすればいいのか。

入居者様から時々、「ここにいていいの?」、「何も出来ないけど…。」という声を聞くことがあります。

「私はここにいて役に立っている」、「ここにいていいんだ」と安心してもらえるようなケアが私たちにはまだまだできていないのかもしれま

せん。「毎日楽しければいいじゃん 」とのんきな私ですが、アニマルセラピーを通じて大切な事に気づかされた気がします。

『楽しみ』 +『使命感』を感じられたら、正木の家はもっと素敵になるのかもしれませんね。

 

あすか

正木の家 5月

カテゴリ名: 正木の家

  • 笑顔でね!ずっといつまでも

 

5月2日、入院中だったA様が永眠されました。

先月書いたように食事も始まり、お見舞いに行くとお話&沢山の笑顔。

職員はまだかまだかと帰りを待っていました。しかし、 A様の身体はもう限界だったようです。

食事を始めては誤嚥と熱発を繰り返し、CVポートから栄養を入れない限り、 身体がもたなくなっていました。

息子様は最後は正木の家でと望んで下さり、「 母の気持ちになって考えたら、正木のあのリビングがいい。 」と。

食事も正木の職員さんからなら食べれるかもしれない」 ・・とも言って下さいました。

本当に、本当に出来る事なら応えたかった。

しかし、ポートが取れない限り正木での受け入れは難しく、他施設への転居が決まりました。

結局、転居予定の日に熱発。その後もメドが立たぬまま病院で最後を迎える事ととなりました。

亡くなる4日前に病室に行った時、苦しそうながらも、笑顔で応えて下さったA様。

「退屈だね~」と言うと、「そうなのよ~」と笑いながら言って下さっていました。

「いっつも笑顔!!」それがA様でした。

そして最後のお顔もやっぱり「笑顔」でした。

A様からもらった笑顔の幸せを、これからは沢山の人に分けてあげられるようになりたいと思います。

笑顔=幸せ。

本当に沢山の幸せをありがとうございました。

 

(あすか)

正木の家 4月

カテゴリ名: 正木の家

★早く戻ってこられますように(正木の家)

先月、A様が心不全で入院。当初は点滴や酸素の管がつながれ、声をかけても弱々しい笑顔で、正木の家に戻れるのかとても心配していました。

ところが生命力の強いA様。しばらくすると酸素もとれ、食事も開始するとの事で「帰れる」と職員一同ホッと胸をなでおろしました。

しかし、ホッとしたのも束の間・・。

食事がなかなか食べられず、胃ろうでも受け入れは可能かと、ワーカーさんから確認の連絡。

胃ろうでは正木の家での受け入れは難しい…。モヤモヤしながら病院へ行ってみると、「 今日のお昼は全部食べられたそうです」と、ワーカーさん。本人もずいぶん元気で「Aさん」と声を掛けると「あら~」と笑顔。

ニコニコしながら「ぜんざいをあげたのよ~」とちらっと隣を見て「やっぱりこういう事はやらなきゃだめでしょ~」と。(笑)

??でしたが、沢山お話しをして下さいました。

まだまだ油断はできませんが、ひと安心です。

いつもニコニコ顔のA様。その笑顔に職員みんなが癒されていました。そんな愛されキャラA様の帰りをみんな待ち望んでいます。1日も早く戻れる事を願うばかりです。

 

(あすか)