メニュー

カテゴリー別アーカイブ: 正木の家

正木の家 6月

カテゴリ名: 正木の家

★明日は今日の続きじゃないかも(正木の家)

5月は正木の家にとって、とても寂しい出来事がふたつありました。
4月から入院しておられたK様の転所と、突然のT様との別れ。
お二人とも開所してまもなく正木の家に入所され、もう6年のお付き合いでした。
正木の家で90歳を迎え、認知症の進行やADLの低下はみられましたが、
まだまだお元気で、これからもお付き合いは続いていくものだと思っていました。
T様と最後に交わした言葉を、私は思い出す事ができません。
出勤したら、当たり前のようにいつもの席にいて、「おはよう」 とあいさつを交わすものだと思っていました。
K様もまたいつものように復活、退院して正木の家に帰って来てくれるものだと、
当たり前のように思っていました。
90歳を超えたお二人の年齢を考えたら、いつまでも同じ日々が続くことはないと、
わかっているようでわかっていなかったのです。
一日一日の大切さを分かっていなかったのです。
入居者様と過ごす毎日がどんなに貴重なものか、改めて感じさせてもらいました。
当たり前のように一緒に過ごす日々を、当たり前と思わず、毎日を大切にしたいと思います。  

(あすか) 

正木の家 5月

カテゴリ名: 正木の家

★意欲はい・い・よ・く!(正木の家)

先月、K様(95)が入院されました。
気管支に物がつまり、左肺はほぼ機能しておらず、
右肺も肺炎で真っ白な状態でした。
救急搬送された時点では血中酸素が50台まで下がり、危険な状態でした。
入院して1ヶ月、まだ絶飲食ですが酸素も外れ、嚥下の訓練や、
車イス移乗で座位を保つリハビリもしておられます。
GW明けからはお粥食もスタート。ドクターもびっくりです。
食べる事が大好きなK様。レントゲンを撮っている時も、
「 今日、お昼ご飯は出ますか?」と、食事の心配をされ今も毎日、お寿司が食べたい〜、
今からお蕎麦屋さんに行きます〜等と食べ物の話をされています。

「食べたい」 この気持ちがK様に生きる気力を与えているのでしょう。
生きる気力を湧かせるものはやっぱり「意欲」なのだと思います。
生きたい、食べたい、歩きたい。 ○○したいと思う事で年齢、病気に負けない気力が生み出されるのでしょう。
そして、医療従事者でない介護職の私達に出来る事は、意欲を生み出す事、
意欲をなくさないようお手伝いをする事なのではないでしょうか。
いつまでも意欲をなくさないK様。この意欲で歳にも病気にも打ち勝ってくれる事を願っています。

(あすか)

 

 

正木の家 4月

カテゴリ名: 正木の家

★これから仲よく暮らしましょ〜

3月26日、正木の家に新しい入居者様が入られました。
正木の家ではまだまだピチピチの70歳。
色白でお肌もピッチピチです。
ユーモア満載で、いつも冗談を言ってはみんなを笑わせてくれます。
まず、顔を合わせると「 248 863!!」と、
名前をもじって元気に自己紹介。
英語もお上手で、立ち上がる時は「スタンドアップ!」
座るときは「シッドダウン!」と掛け声。
おやつを食べ終えると「ベーリーグッド!ワンスモア!」と
お代わり要求!? 毎日英語が飛び交っています。
さすがピチピチ70歳なだけあってとってもパワフル。
個性溢れる正木の家にはぴったりです。

おもしろい数え歌も教えてもらいました。
「いちにの三平さん、仕事もなくて碁ばかり打って、
ろくな事せずに、質屋で恥をかき食う事十人前 ~ ♪ 」
皆さんも唄ってみて下さいな。   

(あすか) 

正木の家 3月

カテゴリ名: 正木の家

★治ってよかった〜(正木の家)

K様が右上腕を骨折してしまいました。1週間程前から「腕が痛い」とは言っておられたものの、
外傷や腫れもなく動かしておられた為、様子をみていました。

しばらくして肩の下あたりがぷっくりと腫れ、右腕が動かせなくなってしまいました。
坂文種病院救急を受診すると、骨折との事。
大きなギプスをして帰って来られました。
痛いと訴えていた時、もっと早く気付いて受診していたら骨折まではいかなかったかも。

毎日のように「頭が痛い」、「目が痛い」等と様々な所が痛いと訴えられているK様。
この時も同じように考えていました。
毎日の訴えに慣れ、認知症介護の基本である、『気づき』や『観察』ができていなかったと
反省しました。

認知症ケアに慣れる事、その人に馴れる事は悪い事ではないと思います。
しかし、慣れることによって大切な事を見落としたり、疎かにしてしまう原因なります。
いつでも初心を忘れず、些細な事にも気づけるようでないといけないなっと感じました。

そんなK様。全く動かせなかった右腕ですが、
3週間もたたないうちに食事も右手で食べ、車椅子のストッパーも右手で外し、
動くわ動くわで職員、ご家族、北川先生もびっくりです。

恐るべし95歳!

正木の家 2月

カテゴリ名: 正木の家

昨年、年が暮れるのと同時に入居者K様90年の生涯も暮れようとしていました。

30日から食事が食べられなくなり、少しの水分と点滴のみ。

起き上がることもできず、ベッドで一日を過ごしておられました。

年が明けると少し元気を取り戻し、アイスクリームやプリンを数口召し上がられるようになりましたが、
90年頑張ってきた身体はもう限界だったのでしょう、1月11日の11時50分に永眠されました。

 

ご家族は近くに住んでおられた事もあり、調子を崩されて以降ほぼ毎日のように面会に来て下さいました。

最後も大好きな息子様に看取られ90年の人生を閉じられました。

息子様の通夜でのご挨拶に、こんな言葉がありました。

「母は昔から心配性で、いつも何かを心配し、

心配事がなくなると、心配事がない事を心配しているような人でした。

しかし、80歳過ぎあたりから、母は忘れる事を覚えました。」・・・と。

 

忘れる事は悪い事ばかりではありません。

自分を守る、回りを安心させることができるひとつの手段なのかもしれません。
認知症は困った病気ではなく、前向きに向き合えば悪い事ばかりではないのかな。

 

 

(あすか)

正木のいえ1月

カテゴリ名: 正木の家

★袖すりあうも(正木の家)

明けましておめでとうございます。

年があけ、正木の家は丸5年過ぎ、6年目を迎えています。

本当に怒涛のように過ぎていった5年間でした。

しかし、そんな怒涛のような5年の間にも 名の入居者様との出会いがありました。

そして、6名の入居者様との別れがありました。

先日、ある人から『袖すりあうも他生の縁』と言うことわざについて教えてもらいました。

偶然でほんのささやかな出会いであっても、それは前世からの深い縁でおこるものなのだと。

この5年間に出会った 名の入居者様との出会にもきっと深い縁があったのです。

そんな出会いや、入居者様の最後の何年間かを一緒に過ごさせてもらう事に感謝をしな

がら、これからも明るく元気な「正木さんち」でいたいと思います。

 

(あすか)

正木の家 12月

カテゴリ名: 正木の家

★わたし、ひとりぼっち?

先日届いた業者さんの広報誌に『ひとりぼっちの孤独よりも大勢の中の孤独の方が悲しい』
という言葉がありました。
この言葉を見て、ハッとさせられました。
正木の家に居ればひとりではない。
ひとりではないという事=孤独ではない、とどこかで思い込んでいたように思います。
入居者のM様は「寂しいの」と時々口にされます。
「寂しくないよ」とぎゅっと抱きしめると、とても嬉しそうなお顔をして下さいます。
T様は職員の顔をみつけては「ちょっとー」と呼び続け、
K様も職員をみつけては「すいませ~ん。助けて下さい」と呼びかけます。
そして隣に座り、手を握ると落ち着かれるのです。
皆でいるから寂しくないと思っていたのは、私達だけだったのかもしれません。

皆様、沢山の不安を抱えて生きていることと思います。
正木の家に入居する事で、「孤独」という不安材料はなくならないといけないはずなのに、
余計に「孤独」を感じさせていたのでは?と気付かされました。
「寂しさ」「悲しさ」すべてを取り除くことはできませんが、
せめて「ひとりではないな」と感じてもらえる、そんな場所にしなければいけませんね。

(あすか)

正木の家 10月

カテゴリ名: 正木の家

正木の家に小さな職員さんがやってきました。

今までも何度か来てくれているK君です。保育園がお休みの為、お母さんと一緒に出勤です。

10時~16時までと、途中お昼寝を挟みながら、とてもいい仕事をしてくれました。

お母さんに似て肝が座っているのか、全く人見知りすることなく、入居者様のもとへトコトコ。

ちょっとご機嫌ななめの入居者様のもとへも、全く臆することなくトコトコ。

寄ってきてくれた入居者様、コロッとお顔の表情が変わりニッコニコです。

「ボク、か~わい~わね~。」と猫なで声。

「これは完敗だ 」と改めて子どもの存在パワーのすごさに感嘆しました。

それにしてもK君。1歳にしてまわりの空気が読めるのか??というくらいのいいタイミングで、入居者様を渡り歩いてくれました。そして皆様がお昼ごはんの時はお昼寝。本当にできた子で、更に感嘆です。

困ったときの救世主K君。今後の活躍を期待しています。

 

(あすか)

正木の家 9月

カテゴリ名: 正木の家

★祭りのあとの寂しさは?

先日、5回目となった正木の家夏祭りを開催しました。

年に1回、地域の方をご招待してのお祭り、年々参加して下さる方が増え、今年は入りきらない程の大盛況でした。

「楽しかったよ~ 」とのお声も頂き、お世話になっている地域の方々への恩返しが少しはできたのかなっと思います。

入居者様はというと、男性陣は美味しそうにビールで乾杯。 S様は浴衣を着てご近所の方とお話をしたり、花火をしたりと楽しそう。

ADL低下で、車イス移動の入居者様も多く、混み合った1階に車イスで降りる事ができませんでした。お祭りムード満載の中、いつもと変わらずリビングでご飯を食べてもらっている。少し空いてきてからようやく1階に降り、水風船や綿あめを楽しんでは頂けたものの、なんだかもどかしい気持ちでした。

祭り囃子が流れ、子供の頃を思い出せるような、そんな雰囲気をもう少し味わって頂きたかったなぁと反省しました。とはいえ、とっても大盛況だった夏祭り。

ご協力頂いた職員さん、ボランティアの方々に感謝です。

お疲れ様でした。

有難うございます。

そして来年も宜しくお願いします!

 

(あすか)

IMG_1689

P1030365

P1030371

P1030363 (1)

P1030388

正木の家 8月

カテゴリ名: 正木の家

★いまもむかしも(正木の家)

いつもは職員のMパパがひとりで行ってくれる朝ご飯の買い物に、新入居者S様が同行することになりました。初日は私も一緒にお付き合い。

大須のサノヤへ出かけると、大須商店街が懐かしいようで、歩いていると「平和堂薬局に薬買いに来たことあるわ!」。やきとり角屋をみつけると、「あそこ前に先輩に連れて来てもらったぁ〜」などと懐かしそうに話して下さいました。

買い物はS様にカートを押してもらい、パパが前からカートを引く感じです。階段ではMパパが心配して手を繋いでくれていました。歳が近いだけに夫婦のよう。S様もMパパの事を「お父さん」と呼んでいました。昔はご主人と大須を一緒に歩いていたのかもしれません。会社の先輩達と飲み歩いていたのかもしれません。S様の昔の姿が垣間見えた気がしました。

短期記憶が苦手な認知症の人にとって、昔を思い出す事はとても大切です。私もですが、普段は思い出せなくても何かきっかけがあれば思い出す。認知症の人だってそうですよね。

大須へのお買い物はS様にとっていいきっかけになったのかもしれません。新しいお店が増え、変わりつつある大須商店街ですが、やっぱり昔ながらのお店にはまだまだ頑張ってもらいたいものです。

 

 

(あすか)